Sシリーズの栄光を背負いきれなかった!?「ホンダ・S2000」(1999年~2009年)
S500、S600、S800と、ホンダが誇る歴代のピュアスポーツ「S」の血統を受け継ぎ誕生したのがS2000。ホンダ創立50周年記念として華々しいデビューを飾ったクルマだ。
ホンダがFR車を発売するのは実に29年ぶりということで大きな注目を集めた。多くの部分が専用パーツにより設計されるなど、ホンダの気合いの入れようもハンパなかった!
フロントミッドシップに配置された直列4気筒DOHC VTECエンジンは、250psを発生。2リッターのNA車としては非常にパワフルだった。さらに、燃料タンクとスペアタイヤなどを後輪車軸の前に配置。重量物を重心近くに集中させることでヨー慣性モーメントを低減させ、50:50の前後重量配分を実現するなど、これぞピュアスポーツという、魅力満点のクルマに仕上げられていた。
理想の前後重量配分によって、パワーをフルに生かせる走り、コーナリング時の卓越した安定性を獲得した…はずだったが、限界点の高さが裏目に出て、車体を御しきれないドライバーも。S2000はドライビングの難しいクルマというイメージが定着してしまった。
結局、総販売台数は10年間で2万台と大低迷し、2009年9月に生産終了に。これでホンダのラインナップからFR車が再び消滅してしまった。しかし現在、中古車市場では800万円超という破格の価格のものもザラに見られるという超人気車となっているのはなんとも皮肉な話だ…。
CR-Xの再来という謳い文句が仇となった!?「ホンダ・CR-Z」(2010年~2017年)
このクルマを本格的なスポーツカーと呼んでいいのかと疑問に思う人もいるかもしれない。しかし、往年のCR-Xファンにとっては、「世界初の量産ハイブリッドスポーツカー」、「CR-Xの再来」など、華々しい謳い文句とともにデビューしたCR-Zに大きな期待を抱かずにはいられなかった。さらに、2代目CR-X、いわゆる“サイバー・スポーツ”を彷彿とさせるスタイリングもその期待感に拍車をかけた。
1.5リッター直列4気筒SOHC i-VTECエンジンとIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)を組み合わせたパワートレインは、最高出力124ps、最大トルク17.7kg-mを発生。2.0リッターガソリンエンジン並みの加速性能と低回転域のトルクを発揮した。
さらに、市街地、高速道路、ワインディングといった走行状況やドライビングスタイルに合わせて「SPORTS」「NORMAL」「ECON」という3つの走行モードを選択できるというホンダ初の3モードドライブシステムを採用するなど、走りを楽しむための工夫も施されていた。
と、ピュアスポーツとしては上出来と言えるクルマであったものの、「CR-Xの再来」と言われると、少々物足りなさを感じてしまうというのが正直なところだった。残念ながら、セールスも伸び悩んだ。
2012年9月のビッグマイナーチェンジでは、i-VTECエンジンを高回転・高出力型に刷新、リチウムイオンバッテリーを搭載することでバッテリー電圧やモーター出力を向上させる、力強い加速を瞬時に実現できる新開発の「PLUS SPORTシステム」を搭載するなど、ドライバビリティの向上などが図られた。
しかし、同年4月に発売されたトヨタ86という強力なライバルに押され、浮上ならず…。一代限りで生産終了という憂き目に遭うこととなった。
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