スタイリングにばかり注目が集まって…「スバル・アルシオーネSVX」(1991年~1997年)
スペシャルティクーペというジャンルにカテゴライズされるアルシオーネSVXをスポーツカーとするかには賛否両論あるかもしれないが、高出力エンジン、低車高、空力性能など、スポーツカーの要素で必要とされる要素を満たすに十分な性能を持つクルマだった。
3.3リッターの水平対向6気筒DOHCのパワーユニットは最高出力240ps、最大トルク31.5kgmを発生する強心臓。低回転域から高回転域までスムーズな加速フィールを感じることができた。
駆動方式はフルタイム4WD、システムはVTD-4WD(不等&可変トルク配分電子制御式4WD)や4WSを採用することで、スポーティな走りと高い走行安定性を両立させることに成功。
そして見逃せないのは、Cd値が0.29という高い空力性能。これにより、高速走行時の安定走行を可能とした。
しかし、アルシオーネSVXがデビューした当時、最も注目を集めたのは、走行性能よりもイタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロによって作り上げられたエクステリアデザイン。だが、その独特のスタイリングは期待に反してさほど受け入れられず、国内販売台数は6000台に届かず…。約6年で姿を消すことになった。
エコフレンドリーな時代の流れに泣かされた!?「マツダ・RX-8」(2003年~2013年)
惜しまれつつ2002年に姿を消したRX-7や、ユーノス・コスモの実質的な後継モデルとして登場したRX-8への期待感は高かった。
話題となったのは、「大人4人が乗れる4ドアスポーツ」という基本コンセプトを実現するべく採用された、「フリースタイルドア」。センターピラーをなくすことで前後ドアが観音開きになるという斬新なものだった。これにより、スポーツカーとしてのスタイリングと後席への乗降性の両立を可能とした。
RX-7消滅の原因となった自動車排出ガス規制をクリアすべく新設計された自然吸気ロータリーエンジン「RENESIS」にも注目が集まった。従来のロータリーエンジンと比較して燃費が向上するとともに、最高出力は標準モデルが210ps、TYPE-Eが215ps、TYPE-Sが250psと、RX-7の最終型であるFD3Sと遜色のないレベルだった。
トランスミッションも4速ATの他に、5MT/6MTも用意され、スポーツ走行を満喫したい人にとっては文句なし!
しかし、出だしこそ好調だったものの徐々に販売台数は低迷。その大きな原因は、カタログ燃費が9.0km/L(10.15モード)という燃費の悪さだろう。燃費は向上したとはいえ、同クラスのレシプロエンジン車と比較するとやはり分が悪かった。
2008年3月のマイナーチェンジでは、エンジンの改良やサスペンションジオメトリーの変更が進められ、さらに、専用19インチタイヤ、ビルシュタインのダンパー、レカロシートリアスポイラーが標準装備され、内外装ともにスポーティ感が増した「タイプRS」が追加されるなど、テコ入れが図られた。
しかし、欧州での排ガス規制ユーロ5への適合が困難になったことから、2010年5月に欧州での販売が終了に。そして、最終的には2012年6月に国内での生産も終了となってしまった。これ以降、ロータリーエンジン搭載車は生産されていない。最後まで環境対策という難題に泣かされたクルマだった。
今回ここでとりあげたクルマたちは現役当時はイマイチの人気だったものだが、現在、中古車市場では人気となっている。今のクルマに物足りなさを感じているなら、中古車をチェックしてみることをおすすめしたい。
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