国債のメカニズムとは?
国債とは、国が借金した時に発行する証書であり、金融商品である。
例えば「額面10万円」「年利2%」という条件の「10年モノ国債」があるとしよう。これをあなたが買った場合、国はそのレンタル料として額面10万円に対する利子2%(2000円)を毎年払ってくれる。10年モノ国債なので、10年後には元本10万円が戻ってくる(償還される)が、その間、毎年2000円×10年=2万円の利子を得ることになる。
つまりあなたは10万円の元手で、10年間で2万円儲けることができたのだ。これが国債の基本的なしくみだ。
ただし、国債というものは額面どおりの価格で売られているわけではない。ここが国債のわかりづらいところであり、儲かるポイントでもある。
例えば「額面10万円」「年利2%」という条件の「10年モノ国債」を、あなたが1万円安い9万円で買えたとしよう。ただし、1万円安く買ったとしても毎年2000円×10年=2万円の利子は変わらない。しかも、あなたはこの国債を9万円で買ったのに、10年後には10万円が戻ってくる!
結果、あなたは9万円の元手で、10年間で3万円儲かることになる。元本9万円に対する年間の利益率で考えると3.3%の儲けだ。
あなたが購入した国債の「年利2%」という条件は元手がいくらだろうが変わらない。これをその国債の「表面金利」という。
いっぽう、この国債を9万円で購入できた時、あなたは1年間で元手に対して3.3%儲かった。この利益率のことを「利回り」という。この「利回り」の数値が大きいほうが、お得な買い物をしたことになるわけだ。
自動車ローンの「固定金利」と「変動金利」
さて、私たちにとって重要なのは国債の「利回り」である。なぜなら10年モノ国債の利回りは、日本における「長期金利の指標」にもなるからだ。
端的に言えば、景気が悪い時には日銀が大量に国債を買い、すると長期金利が下がり、私たちが日常の中で関係する「市中金利」も下がる。
逆に、景気が良いと日銀は国債を売り、すると長期金利が上がり、市中金利も上がってしまう。
昨今では、日銀は大量の国債を購入し続けていて、長期金利を意図的に0%前後まで下げている。その結果、市中金利は下がり、私たちはローンが組みやすく、クルマや住宅などの高額商品が買いやすい状況にある。このような恵まれた状況下で私たちの消費が増えれば、日本の景気が上向くと日銀は考えているのだ。
自動車や住宅のローンの金利には「固定金利」と「変動金利」があるが、この長期金利が基準とされるのは「固定金利」のほう。なので、自動車ローンにおいて固定金利を選択する場合は日本の「10年モノ国債の利回り」の推移に注意を払う必要がある。
いっぽう、「変動金利」を選択する場合は、その指標である「短期金利」に注意してほしい。短期金利とは取引期間が1年未満の金利のことで、銀行同士がお金を貸し借りする時の利率「無担保コールレート」がその指標となる。経済サイトなどで時々この数値をチェックすれば短期金利の推移が確認できる。
固定金利と変動金利、どちらがお得?
ローンの金利は、変動金利より固定金利のほうが高めに設定される。ただ、固定金利はローンを完済するまで同じ金利が保証される。
いっぽうの変動金利は、経済状況が変われば金利が変わる可能性がある。ローン期間中に景気が良くなれば金利が上がり、固定金利よりも高くなる可能性がある。
しかし、この30年間においては変動金利のほうが割安だった。なぜならその間、ずっと日本は不景気だからだ。そのため日銀は国債などを大量購入し、金利が上がらないようにずっと抑え込んでいる。つまり、私たちが買い物をしやすい状況を作り続けているのだ。
これからローンを組む場合はどうか? もしあなたが今後、日本経済が劇的に良くなると考えるのであれば固定金利を選択すべきだ。今より金利が低くなることは本来的にはあり得ないからだ。
しかし、相変わらず景気が良くならないと考えるのであれば、変動金利のほうがお薦めだ。そのほうがトータルの利子の支払い額は安くなるはずだ。ちなみに、もし筆者が明日クルマを購入するのなら、5年以内のローンであれば変動金利を選択する。
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