お金の量を減らす「テーパリング」の開始で、自動車ローンは高騰する
新型コロナ禍においては世界中の金利が極端に下がった。しかし、ワクチンが功を奏し、特にアメリカ経済は上向きつつある。そのため米国の中央銀行であるFRBは米国内のお金の量を減らそうとしている。つまり、国債の購入量を減らすのだ。この行為が「テーパリング」である。直訳すると「先細り」という意味だ。
アメリカが今月11月からテーパリングを開始することで、米国内の金利は上昇するだろう。では、その影響を日本はどのように受けるだろうか? 国内における自動車ローンの金利は上昇するのだろうか?
日本の場合、コロナ禍から脱したとしても、経済の回復以上のさらなる成長が観測されなければ、日銀は20年以上続けてきた超低金利政策を変更しない公算が高い。つまり、日銀は新型コロナ禍以前と同様、大量の国債を購入し続け、量的緩和を継続して国内の金利を低く抑えようとするだろう。であれば、国内の自動車ローンの金利も相変わらず低いままだと予想される。
しかし、アメリカのテーパリングに投資家が過剰反応すると、市場に不安感が広がって投資家が米国債を売りに出す可能性がある。その場合、国債そのものへの不安感から日本の国債も売られるかもしれない。そうなれば、日本国債の利回りとそれを指標とする長期金利が上昇し、国内の自動車ローンの金利も上昇するだろう。
米国のテーパリングが始まると、クルマは高くなる?
さらに、もうひとつ意識しておきたいのは、日米間の金利差だ。「世界のお金は、金利の高い国に集まる」という原則がある。金利の上昇は、その国の経済が成長しているサインでもあるのだ。
米金利が上昇し、日本が超低金利のままであれば、世界をさまよう莫大なお金は高い金利を求め、アメリカの金融商品、またはドルへ向かう。最近は日本もEUもイギリスも経済的なトピックスがなく、円、ユーロ、ポンドが売られ、ドルの独歩高になる可能性もある。こうした場合、特にアメリカからの輸入車の価格は上昇することになる。
また、「円安になると物価が上がる」傾向になるという原則もある。日本では、工業製品の原材料や食品など、あらゆるモノを海外から輸入しているが、円が安く(弱く)なれば、それらを購入する費用が割高になる。その結果、国内の物価が上昇する傾向になるのだ。つまり、アメリカとの金利差の拡大によって、円が安くなり、国内の物価が高くなる。この場合、国産車の価格も今より割高になるだろう。
このように、自動車の購入のタイミングやローン金利を見極めるためには、日米の国債価格や金利だけでなく、為替や物価など、そこから生じるさまざまな余波も考慮する必要があるのだ。
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