■これぞ覆面の決め手! アンテナは沼の入り口だ
覆面パトカーを警察車両たらしめているもっとも特徴的な装備といえば無線機と無線用のアンテナだろう。警察の職務において、無線での通信は欠かせない。逆に言えば、無線機を積んでいない場合は、第一線で活動する車両ではない可能性がある。それほどまでに大事な装備なのだ。ただし、無線用アンテナはどうしても目立つ存在になりがちだ。そのため、秘匿性向上のために、これまで様々なアンテナが導入されてきた。ここでは代表的な4つを紹介したい。
1.ユーロアンテナ
近年最も多くみかける、ラジオ用アンテナに擬装したタイプの無線用アンテナ。車種によっては、元々ラジオ用としてこのアンテナを標準装備している場合もあるので、ノーマル時の仕様をよく頭に入れておく必要がある。例えばアリオンの場合、240系前期型は元々ルーフ後端にこのタイプに似たラジオ用アンテナを装備しているが、それ以降のモデルでは装備していないので、見抜くポイントとなる。セレナやエルグランドもこのタイプのアンテナは元来装備されていないので、見抜きのポイントとなる。ミニバンでは、ルーフ後端の中央ではなく端に装備されることも多い。
また、元来ラジオ用として標準装備されているが、それとは別の位置に無線用として装備されている、という例もある。例えば日産のエクストレイルの場合、ルーフ先端にこの形状のラジオアンテナが装備されているが、ルーフ後端には無線用ユーロアンテナを付けて運用しているという事例がある。
なお、ラジオ用アンテナの場合、ケーブルがルーフから直接車内に引き込まれているため、配線が見える位置に出ていることはない。それに対して、無線用アンテナの場合は、マグネットなどで取り付け、ケーブルをリアガラスの縁を沿わせてトランクやリアゲートの端から引き込ませているケースが多い。このため、アンテナの基部に尻尾のように「ちょろっ」と配線が露出している。これも見抜きポイントのひとつである。なかには、リアガラスの縁から外れてしまい、配線が丸見えになっているダラシナイものも見かける。
2.TAアンテナ
一昔前のテレビ受信用アンテナに擬装したアンテナである。2本のエレメントがV字に開くいわゆる「ダイバーシティアンテナ」タイプで、地デジ化以降はテレビ用としては用いられていない(現在はワンセグまたはフルセグ用のフィルムアンテナが一般的)ので、現在も使用されている場合はほぼ無線用と言ってもいいだろう。代表的なのはセイワ製「T35 CITY ROAD」とPanasonic製「TY-CA39DA」である。
元来のテレビ用アンテナは、2つのエレメントをもつダイポールアンテナなので、2芯ケーブル(2本のケーブルがひとつにまとまったもの)であるが、無線用はモノポールアンテナ(つまり、エレメントの片方は用いられておらず、ただの飾り)であるので、ケーブルが1芯であるという特徴がある。また、エレメントの長さも、使用周波数帯域に合わせるためテレビ用より少し長く設計されており、エレメント収納時の長さ調節用スリーブが付いているという特徴がある。
3.TLアンテナ
昔の自動車電話用アンテナに擬装したアンテナである。携帯電話の普及に伴い、自動車用電話は廃れて久しいため、現役で見かけるこのタイプのアンテナは無線用かあるいは飾り(アンテナを装飾品として装着する方もいるため)である。秘匿性はもはやゼロなので、今では捜査用車両ではなく、幹部用車両や移動用車両に用いられていることがほとんどだ。
4.アマチュア無線用アンテナ
アマチュア無線用のモノポール(針金型)アンテナ。元々無線用アンテナなので「擬装」ではなく本来の使い方というべきなのだが、車種や設置方法次第では秘匿性が高いものもある。サガ電子や第一電波工業のものが多く用いられている。
アンテナによる見分けは、たくさん観察し、数をこなすほどにその精度はアップする。画像ギャラリーのサンプルも合わせてご覧いただきたい。
さて、細かすぎる覆面の見分け方、今回はその沼の入り口部分を紹介した。次回は、赤色灯の脱落防止ピンや内装装備(クリップやサイレンアンプなど)を紹介し、さらなる沼の深みへとご案内したい。それまで、今日の見分け方を実践してみていただき、覆面パトカーウォッチの楽しさを体験していただければと思う。
【画像ギャラリー】細かすぎる覆面パトカーの見分け方の詳細カットを一気見する(18枚)画像ギャラリーもっとパトカーについて知りたい方は『平成~令和新時代 パトカー30年史』もご覧ください。『平成~令和新時代 パトカー30年史』はこちら
コメント
コメントの使い方ラジオライフよりも薄っぺらい記事ですね。