■発表されたモデルはシビックの改良版!?
ただ、公開されたクルマは、1.5L VTECターボを搭載した、シビックのアキュラブランド版だった。そのデザインは、シビック5ドアハッチバックのスポーティ版。サイドから見るとよくわかるが、ルーフラインはシビックよりもスポーティで、ボディ中央付近からなだらかに下がりはじめている。
後姿は完全にクーペライクだ。アウディで言えば「スポーツバック」シリーズに当たるラインである。ベース価格は、北米で3万ドル程度とされていて、それほど高くない。
近年のSUVブームのあおりを食らい、セダン&クーペは、どんどんシェアを縮小させている。そんななか、希望の光は、こういったスポーティな5ドアハッチバックモデルにある。アキュラのようなプレミアムスポーティブランドには、なくてはならない存在だ。
しかしフロントマスクは、日本ではレジェンド(年内で販売終了)でおなじみのアキュラ顔そのもの。レジェンドよりはバランスよく収まっているが、日本のクルマ好きからすると、あの大失敗作・レジェンドをダイレクトに連想させる。このアキュラ顔、北米でも中国でも人気があるとは言えず、基本的には統一デザインの失敗例である。
■中高年のホンダファンにはシビックがある!
さて、この新型インテグラ、日本導入はあるのだろうか?各メディアは希望的観測を含めて「復活を望む」的な論調だが、個人的には、このままでは魅力的とは思えないし、日本導入も99%ないだろう。
日本では、スポーティな5ドアハッチバックの需要は、ほぼドイツのプレミアムブランドに限られていて、国産車ではサッパリだ。そんななか、5ドアハッチバックの新型シビックは、クルマ好きの静かな支持を集めている。しかも初期受注の約半数が6速MTだったというから涙が出るが、それで十分と言えば十分。今後シビックタイプRの投入も確実視されているから、あえてインテグラを導入する必要性はゼロではないか?
なんとなく、「インテグラ復活!」というニュースを見ると、「俺たちのホンダが帰ってくるのか?」「新型インテグラは、ホンダの救世主になるのか!?」的な期待が芽生えてしまうが、考えて見れば、「俺たちのホンダ」と思っている中高年のホンダファン向けには、すでに新型シビックがあり、それで需要は満たしている。
新型シビックは非常にバランスのいいクルマだ。適度な居住性と、古典的にカッコいいルックスをバランスさせつつ、スポーティな走りを実現している「おっさん殺し」である。売れ行きは、国内で月に1000台前後と、セダン系の不振や半導体不足の状況を考えれば、悪くない。同じセダン系のアコードやインサイトが、月に100~200台程度しか売れていないことを考えれば、大健闘以上だ。
そんなシビックに、あえて姉妹車であるインテグラをぶつけ、戦力を分散させても、いいことはないだろう。「俺たちのホンダ」を愛する古典的ホンダファンは、シビックを大切に守ることが重要だ。もはやパイは小さいのだから、インテグラに浮気をしている余裕はない。インテグラの日本導入など、ホンダにも我々にとっても、メリットはないと断言したい。
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