【GT-R、TypeR、RS…】「昭和のR」対「平成のR」 史上最強の「R」はどれだ

【GT-R、TypeR、RS…】「昭和のR」対「平成のR」 史上最強の「R」はどれだ

クルマ好きなら誰しも、「R」という文字には思わず反応してしまうことに違いない。「GT-R」をはじめ、「GTタイプR」「タイプR」、「RS」、「バージョンR」、「スペックR」、「SiR」、「GTi‐R」、「GSR」、「WRX」、「R1、R2」、「ワゴンR」など、車種名、グレード名の一部に「R」が入っているものも含めると、さらにかなりの数にのぼるが、実際の話、「R」のつくクルマは記録にも記憶にも残るものが多い。

そのなかから今回は、昭和と平成にわけて、それぞれ最強の「R」を選んで、最後にタイマン対決! 史上最強のRははたしてどのモデルになるのか?

文/岡本幸一郎
写真/ベストカー編集部


■昭和のRと聞いてすぐに思い浮かぶクルマは?

昭和44年2月に発売されたPGC10型GT-R。ボディサイズは全長4395×全幅1610×全高1385mm。エンジンはプリンスR380に搭載されたGR8型をベースにしたS20型を搭載

RS、バージョンR、スペックR、GSR……、どこまで範囲を広げるべきかという問題もあるし、すべてを網羅するのは難しく、ここで出てこないものも厳密に探すといろいろあるだろうが、今回は最強のRを選ぶのがテーマであり、パッと思い浮かばないようなクルマは、そもそも最強のRには相応しくないので、選外ということでご了承いただきたく。

誰もが聞いて「R」と認めるであろうクルマに限ることにしたい。まず昭和。初めて「R」の名称がついたのはさだかではないが、最初に「GT-R」と名乗ったのは、ハコスカのGT-R(PGC10)だ。

■ベレGの頂点、ベレットGTR

いすゞは117クーペに搭載のG161W型をベレットに押し込みベレットGTRとして昭和44年10月に発売。これまでのベレットはGTという名を持つものの、OHVのG161型のみだったのでベレットGTRの登場で一気にGTにふさわしい内容となった。ベレットGTRはそれまでGTXの名でG161W型をデチューンし、ベレットのボディに載せてレースに出場していたれ車両をもとに市販化されたので、まさにレースから生まれたクルマといえる

日本車で初めて「GT」を名乗ったのは、スカイラインではなく、昭和39年4月に発表されたいすゞのベレットだ。ただし、発売はスカイラインGTのほうが1カ月早かった。

ちなみに「GT-R」、「GTR」となると、スカイラインが昭和44年2月にGT‐R、ベレットは昭和44年10月にGTRを発売となっていて、まさしく同期の「R」だ。

なお、ベレットの正式名称は前期型が「GTR」、昭和45年のマイナーチェンジ以降が「GT typeR」となる。

「スカイラインGT-R」登場以前はベレットがサーキットを席巻していて、昭和44年8月の鈴鹿12時間耐久レースで優勝したベレットGTXをベースとするベレットの最上位モデルとして、上級機種の117クーペ用のミクニ製ソレックスキャブを2連装した最高出力120ps、最大トルク14.5kgmを発生する1.6L、DOHCに換装したほか、足まわりを強化するなどした。最高速度は190km/hだった。

価格は111万円で、昭和48年3月まで生産され(販売は6月まで)、生産総数は1400台程度と伝えられる。なお、のちにこのエンジンを搭載したレーシングカーのR6が昭和45年秋のオールスターカップで優勝している。

一方のスカイラインGT-Rには、レーシングカーであるプリンスR380のエンジンをデチューンした、最高出力160ps 、最大トルク18.0kgmを誇るS20型エンジンが与えられた。

最高速度は200km/h、ゼロヨン加速は16.1秒を誇り、価格は150万円(後期型2ドアハードトップは154万円)だった。

ハコスカは前期型のPGC10が832台、後期型の2ドアハードトップのKPGC10が1197台の計1945台が生産された。

ベレットもかなり当時としては際立つ存在だったことがうかがえるが、スカイラインGT-Rと比べると、やはりスカイラインGT-Rに軍配が上がるだろう。実車のスペックはもとより、レースでの50連勝に象徴されるように、残した金字塔も圧倒的だ。

昭和48年1月からわずか3カ月、197台のみが生産、195台が販売されたKPGC110型スカイライン。KPGC10からのS20エンジンに変更はない

そしてスカイラインは、昭和48年1月に、ケンメリのGT-Rが発売される。生産台数わずか197台と、希少価値ではハコスカよりもケンメリのほうが高いが、一度もサーキットにも姿を現すことはなく、すなわちなんの名声もない。

それは、いくら名機と呼ばれるS20型エンジンをもってしても、大型化して車両重量が重くなり、ホイールベースの拡大したケンメリでは、当時、勢いを増していたマツダのロータリー勢と渡り合うのは厳しく、GT-Rの名声に泥を塗ることになると、日産自身がいちばんよくわかっていたからに違いない。

ゆえにハコスカとケンメリだと、同じエンジンを積むものの、歴史的な価値でいうと、偉大さではハコスカだ。

なお、ケンメリとベレットのいずれも昭和48年の排出ガス規制により、生産中止を余儀なくされた。

その後、昭和の時代に出たGT-Rとしては、RX-7やセリカ、コロナなどにも設定があったが、スカイラインやベレットのような最高性能版でなく、まあ、どんな名称をつけるかはメーカーの自由ではあるわけだが、むしろ下位グレードという位置づけだった。

ほかに「R」のついたクルマで印象的なのは、短命だが昭和49年10月のシビックRSがある。排ガス規制が始まった、走らないクルマが増えていくなかで登場したシビックのスポーティ版。

1.2LエンジンはCVツインキャブを装備し、76ps/10.3kgmを発生。76psながら車重705㎏という軽量かつ固めの足で、ジャジャ馬、ナンバー付きのゴーカートとも言われていた。後のホンダタイプRに通じるものがあり感慨深い。

シビックRSのRSはロードセーリングの略(現在のフィットRSも同じ)で、果てしないロングツーリングを楽しむクルマをイメージ。1200GLより6psアップの76ps。シビック初の5速MT、13インチのワイドラジアルタイヤを装備し走りの性能を高めている。5速MTは4速+オーバートップの5速という位置づけで、100km/h時のエンジン回転は約3000rpmと低く抑えられていた

次ページは : ■昭和のR=KPGC10型スカイラインGT-Rに決まり!

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