■「トヨタEV計画」の目玉となるか?
2030年までに年間200万台のEVとFCVを販売する計画を立てているトヨタだが、その戦略は緻密だ。
e-TNGA第一弾となるbZ4X以降、材料や構造の改善によりバッテリーそのもののコストを30%削減させ、また、電費を30%向上させることでバッテリー容量を削減。
この相乗効果により2020年代後半には、bZ4Xに比べてバッテリーコストを半減させる計画を進めているのである。
さらに2025年までにEV専用の生産ラインを10本立ち上げ、以降、2030年までに合計70本のラインを完成させるとも発表。もちろん、EVの進化を一気に早める全固体電池の開発も進めている。
こうしたEVに関するトヨタの緻密な計画を見ていくと、EVエスティマの実現可能性の高さがわかるだろう。おそらく、エスティマの開発プランは2018~2019年頃にFCVからEVに転換した。予想以上に水素ステーションの整備が遅れており、FCVのファミリーカーを開発するのは時期尚早と判断されたのではないかと思われる。
一方で、従来の延長線上となるハイブリッドで復活というのも話題性に乏しいし、現在生産をやめている意味もない。「脱炭素時代のエスティマ」がEVを選択するのは極めて自然な判断と言えるのだ。
しかし、重要なのは「ユーザーの購買意欲を掻き立てるか否か」なのは言うまでもない。航続距離も価格も大事だが、EVといえどもそれだけでクルマの魅力は決まらない。ワクワクするようなデザインや新たな提案が絶対に必要で、それにはバッテリーコストも生産計画も関係ない。そのあたりの研究にも力を入れているはずだ。
最後に、このクルマは「bZ」を頭に付けた車名で登場する可能性もある。しかし、情報提供者がそう呼ぶほど、かつてのエスティマのイメージが強いミニバンなのだと想像できる。無機質な感がついて回るEVだけに「エスティマ」の名で親しみを感じさせてほしい。
登場は早くて2024年、遅くとも2025年となるだろう。
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