■注目のツインドージングシステムとは?
TDIエンジンに注目してみると、2.0Lの直列4気筒直噴ターボである点は同様だが、従来型ゴルフVIIに搭載されたEA288型からEA288evoに進化を遂げている。エンジン性能では、最高出力は同等となる150ps/3500~4000rpmとなるが、最大トルクは従来型比+20Nmアップの360Nm/1600~2750rpmに。
さらに最大トルクの発生回転も、より低くなり、トルク感を増した。クリーンディーゼルの強みのひとつである燃費消費率も、従来型比+1.1km/Lとなる20.0km/L(WLTC)に向上した。
新TDIの最大のポイントは、新採用のツインドージングシステムだ。簡単に説明すると、SCRシステムを従来の1系統から2系統に増やすことで、環境負荷低減を図ったもの。
その仕組みは、よりエンジンに近い位置に配置した第1SCRで低負荷時のNOxの除去を図り、排気が高温になる高負荷時には、アンダーボディに配置された第2SCRを主に活用することで、しっかりとNOxを抑えるもの。
多くの状況では、第1SCRで90%以上のNOxを除去できるが、ふたつのSCRの働きにより従来型エンジンよりもNOxの排出量を最大80%も削減できるという。また、SCRの還元剤に使うAdBlueの消費量は、状況でふたつのSCRを使い分けているので、消費量は従来同等だという。
このほかにもエンジンの改良点として、高圧インジェクターの採用、1燃焼サイクルにおける燃料噴射回数の増加、サイレンサー及び消音材の改良などを行うことで、レスポンス向上、燃費の改善、騒音の低減なども図っている。
■より静かで力強い走りに
スペック上は僅かな違いだが、新型ゴルフVIIIとのマッチングはいい。車両の静粛性が高まったことで、低速時こそ小さくディーゼルエンジンらしい音を感じるものの、それはガソリン車と比べてのこと。TDIのみに試乗すれば、意識するのは、ディーゼル車オーナーくらい。
それでも、ほかのディーゼルと比べて静かと感じるはずだ。もちろん、ディーゼルによる力強い走りは、ワインディングや高速走行でしっかりと発揮される。特に高速巡行では、エンジン音の静かさとエンジンレスポンスのよさで、TDIであることを忘れさせてくれるほど。
確かに軽快さでは、ガソリン車に分があるが、従来型のTDIと比べると、ずっとスポーティ。愛車で遠くに出かける機会が多い人にとって、1.5LeTSIよりも少し高くはなるが、燃費とより力強い走りは魅力的に映るはずだ。
そして期待されるのは、積載能力と後席スペースの拡大を図った新ヴァリアントとTDIのコンビだ。アウトドアブームの今、まさに期待されるゴルフではないだろうか。その登場は楽しみだが、現時点ではアナウンスはされていない。
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