新型クラウン 受注は計画比6.7倍!! 売れてる? 誰が買っている?


クラウンにも新しい戦略が必要

2007年まで販売されていたクラウンエステート。ワゴンかどうかはともかく、クラウンのブランドを活用した新たなラインアップで新規顧客を掘り起こすのはひとつの方向性だ

 ただ、現時点では新型車効果で売れ行きが好調だが、それが一巡する1年後以降、どのような販売動向になるか注目だ。

 セダン市場そのものは冬の時代から脱していないので、新しい商品戦略を講じることが必要になる。

 参考になるのはベンツやBMWのような商品ラインアップの充実整備である。ベンツ EクラスやBMW 5シリーズは、クラウンのように4ドアセダン1ボディのラインアップではない。

 ベンツ Eクラスは、4ドアセダンの他ステーションワゴン、クーペ、カブリオレなど多くのボディタイプがあり、パワーユニットも1.9、2.0、3.0、4Lなどを搭載し、幅広いユーザーニーズに応えられる、豊富なバリエーションを揃えている。

 BMW 5シリーズも4ドアセダン、ツーリング(ステーションワゴン)があり、パワーユニットは2.0、3.0、4.4Lを搭載するワイドバリエーションとなっている。

 対するクラウンは、4ドアセダンのみでパワートレインは2.5&3.5ハイブリッド、2Lターボのラインアップであり、4ドアセダンだけでは幅広いユーザーニーズに応えられない。

 クーペやステーションワゴンがあれば、若い層へのアピールももっと可能になるといえるだろう。

■販売現場の声は? 首都圏トヨタ店の証言

 新型クラウンのできは良く、滑り出しは今のところ好調といえるが、果たしてどこまで続くか不安部分はある。

 80%以上に達している代替え母体は大きいが、かつてに比べるとかなり小さくなっている。レクサス、ベンツ、BMW、アウディに流れているケースも多い。

 トヨタ店、トヨペット店の一部はレクサス店を事業部として抱えており、新型車が発売になると紹介する。

 歴代クラウン(のオーナー)はLS、GS、ISに流れる。こうした場合、レクサスブランドの方がクラウンよりもステータス性が高いので、クラウンが新型車になったからといって、格下のクラウンに戻ることはあまりしないので、その分クラウンの代替え母体は小さくなる。

若返りは本当に必要? クラウンに求められる価値

新型クラウンの受注台数の好調ぶりはユーザーの根強い支持を表わす。一方で通算15代目となる新型の今後は、クラウンの将来を考えるうえでも鍵を握りそうだ

 ここまで遠藤氏のレポートと販売現場の声を中心に書いてきたとおり、クラウンユーザーの若返りはそれほど進んでいないが、それ自体は大きな問題ではない。

 クラウンは、日本の社会を反映した高級車だ。日本では年齢とともに所得が上がるのが一般的だが、将来的にみればその傾向は徐々に弱まっていくだろう。さらに、高級車の選択肢も多様化している。

 とすれば、クラウンに求められるのは「若返り」ではなく、年齢に限らず経済力を持つユーザーに訴求できる“日本の高級車”であり続けることだ。

 そう考えた時に、ベンツやBMWという輸入車や同グループのレクサスにない魅力が、クラウンにあるかどうかが鍵となる。

 だからこそ重要なのは、これまでクラウンを乗り継いできたユーザーを如何に繋ぎ止め、他の高級車と比較するようなユーザーを新規に獲得できるかだ。それにはバリエーションの拡充も必要だろう。

 受注台数を見ても、新型クラウンが一定の評価を受けていることは間違いないが、需要が一巡した1年後は果たしてどうか?

 その売れ行きとそれを踏まえたトヨタの戦略が、クラウンの本当の評価を決めることになるだろう。 

【編集部】