もはや新型WRX S4には設定すらなし!  大型リアウイングなどエアロパーツ装着の功と罪を探る!!

■標準ボディで空力性能はもはや充分!?

 そもそも真横になって走っていたらリアウイングあっても風が当たらず効きません(笑)。そんなクルマをかっこいいと考えている人たちからすると、リアウイングなんかないほうがよいということになる。このタイプの皆さんがスポーツモデルを買う層の中心になっているのだろう。

 その下の年齢層もリアウイングに対する思い入れは薄い。前述のとおり、客観的に評価すると車速160km/h以下の効き目が弱いし、そもそも公道のコーナーでダウンフォースを効かせて曲がるなんてありえない。高速道路だって160km/h出すことなど乱暴過ぎる。高価なリアウイング付けたって意味ないということらしい。これまた正論だと思う。

 昨今のクルマは空力を追求しているため、高速域でリアが浮くような特性にならない。むしろ標準のままのほうがバランスがいいということ。となればリアウイングつけなくていいかも。

■160km/h以上の高速域ではメリットあり!

マクラーレンの市販モデルではこのようにリアウイングがせり上がってくる
マクラーレンの市販モデルではこのようにリアウイングがせり上がってくる

 一方、武闘派のクルマを見ると新車からリアウイングがついている。例えばマクラーレン。一定の速度域になるとリアウイングが一段立ち上がる。これで160km/h以上出した時の安定性ははっきり違うという。

 クルマというのは微妙なバランスに成り立っており、160km/hで30kgくらいのダウンフォースかかると、体感できるほど安定感が増す。横風が吹いている時などはさらに効果的。最高速が200km/hを超えるようなクルマを見ると、基本的にリアはダウンフォースをつけるような形状をしていると思う。200km/hになったら明確に必要だ。

 マクラーレンの場合、一定以上のブレーキをかけるともう一段立ち上がる。飛行機が着陸した時のグランドスポイラーのような役割を果たす。ダウンフォースというより空気抵抗だ。これも効く!

 私は電気自動車レースのため、先代MIRAIにブレーキを踏むと直立するリアウイングをつけた。富士スピードウェイのストレートは180km/hくらい出るのだけれど、ブレーキ踏んだ瞬間、「ドン!」という衝撃を感じるくらい大きな空気抵抗になっている。ちなみに旅客機の着陸速度って260km/hくらい。この速度でエアブレーキ掛けたらきっちり効くということです。

■最も理にかなっているのは可動式ウイング

bZ4Xのリアビュー。左右分割型のリアウイングが装着されているのがわかる
bZ4Xのリアビュー。左右分割型のリアウイングが装着されているのがわかる

 個人的には可動式ウイングが最も理にかなっていると考える。空気抵抗の走行安定性を両立できるからだ、250km/h以上出るようなクルマには必須装備だと信じて疑わない。それなら遅いクルマならリアウイングなど不要か? これまたそうじゃないからクルマって面白い。

 電気自動車のbZ4Xを見たら、リアにウサギの耳のような左右別体のリアウイングがついてます。はたまたリアハッチの最後部にダックテール形状のリアスポイラーがつく。bZ4Xだけかと思いきや、ボルボの電気自動車C40リチャージもまったく同じような形状。

 理由を聞いたら、「50km/hくらいから空気抵抗を減らしてくれるんです」。何と! 走行抵抗やタイヤの転がり抵抗を極限まで減らした電気自動車は50km/hから空力が効いてくるのだった。100km/h巡行にもなると「激しく効きます!」。

 機会あったらbZ4XやボルボC40のリア周りを見ていただきたい。立派なウイングやスポイラーが標準でついている。今後も空気抵抗を減らすべく、リアウイングやスポイラーは採用されるということ。とはいえ、リアウイング大好き連盟会員の私としては、今後もデカいウイングをつけていきたい。

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