F1開幕前は、レッドブル独走との予想が大勢を占めていた。その理由はバーレーンテストで見せた余裕のトップタイム、そして確実に速いレースペース。しかし蓋を開けて見たらフェラーリにマックスはついていけなかった。例年テストは好調でも本番に弱いフェラーリがその本番で躍進した。メルセデス、レッドブルはテストで牽制しあっていたことで遅れをとったのか⁉ 元F1メカニックの津川哲夫氏が私的解説する。
文/津川哲夫、写真/Ferrari,Mercedes,Redbull,McLaren,Ferrari
【画像ギャラリー】フェラーリがワンツー。不調だが運良く3位のメルセデス、レッドブルは2台ともリタイアに(5枚)画像ギャラリーメルセデスは本番で本領発揮、毎度テストで三味線をひいていたが……
開幕戦バーレーンを走り出して見ると状況は大きく変っていた。例年ならばメルセデスのテストでの勢いのなさはブラフであり、本戦ではいつもならトップに踊りでるはずだが……、金曜日のプラクティスそして土曜の予選に至るまで頭をもたげる事はなく、ハミルトンがやっと5番手。今シーズンに限っては、テストでの低迷は少なくともこの開幕戦に関してはブラフではなかったことが証明されてしまった。
逆に驚きはフェラーリだ。テストから好調さをアピールしていたが、そこはフェラーリ、毎年テストでは速くても本番になると伸びがなく低迷に陥るのが常であったが、この2022年は違った。
ブラフを打っていたのは、実はこのイタリアのスカーレット・フェラーリだったのだ。フェラーリは開幕前の2回のテスト6日間を全てまっとうに今シーズンのマシンF1-75を持ち込み、初日から精力的にテストを繰り返していた。
その反面、メルセデスは最初のバルセロナテストにはスタンダードな仕様のW13を持ち込み、基礎的なテストを行いそこそこの速さを見せてはいたが……。これが本物ではなく、バーレーンテストにはゼロポッドW13を持ち込んできた。結果、このバーレーンでの3日間だけで本番を迎えることになったのだ。そのせいとはいわないが、バルセロナでの3日間は実に大きな損失だったのではないだろうか。
その結果、異常なポーポシングの対処が間に合わず、バーレーン本番でもこの対処に追われてしまった。
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