電動化一直線の今、改めて問う「クリーンディーゼル」という選択

■米国はディーゼル人気薄、日本ではトヨタ以外は旗色悪し

 アメリカはどうか? すでにディーゼル人気なし。日本勢ではマツダのみ可能性あったものの事実上の撤退といっていい状態。ラージ商品群のディーゼル搭載車、アメリカ仕様にラインナップされないと予想しておく。厳しい排気ガス規制があるため、今後も難しいと思う。アメリカにおけるディーゼルの販売、数年後にできなくなると私は考えている。

 ということで日本だ。中東などと並び法規的には世界一緩いと考えていいだろう。トヨタもランクル300に搭載するため、まったく新しいディーゼルを開発してきたほど。マツダの3300ccディーゼルだって欧州より緩い排気ガス規制のため問題なし! とはいえ日本にもCAFEが定められている。だからこそトヨタのように平均燃費のいいメーカー以外、厳しい。

 マツダが高い評価を得ている2200ccディーゼル搭載車を増やせないのも、スバルが高性能エンジン車を次々と絶版していくのも、CAFEをクリアできないためだ。マツダは燃費のいいクルマを揃え、さらに電気自動車なども出していかないかぎり、2020年代後半にも絶版を余儀なくされそう。燃費だけでなく、2026年から始まる騒音規制のクリアだって大きな課題です。

308ps/43.0kgmを誇ったEJ20ターボ搭載のスバル先代WRX STI。CAFEをクリアできないために惜しまれながらすでに生産は終了している
308ps/43.0kgmを誇ったEJ20ターボ搭載のスバル先代WRX STI。CAFEをクリアできないために惜しまれながらすでに生産は終了している

■やはりディーゼルを買うなら今だ!!

国沢氏が現在も乗っているのがボルボXC60のクリーンディーゼル車だ
国沢氏が現在も乗っているのがボルボXC60のクリーンディーゼル車だ

 ウクライナ情勢でどうなるか読めなくなってきた、という前提で話を進めると、最も厳しい状況を考えたらディーゼル車は今後4~5年で新車の販売ができなくなってしまうかもしれません(前述のとおり、買ったら20年以上乗れる)。

 もしディーゼルの購入を考えているのなら、なるべく早く動いたほうがいいと思う。マツダの3300ccディーゼル、出来がよければ狙い目です。

 参考までに書いておくと、ディーゼルの排気ガス処理装置(特に触媒)は1gあたり1万円もするパラジウムが相当な量使われている。そのほか、簡易型ハイブリッドに使われているモーターやインバーター、バッテリーの部品や材料の調達コストまで高騰中。年次改良の度に値上げを余儀なくされると予想してます。だったらハイブリッドを買おうという人も出てくる。

 規制だけでなく、車両価格やハイブリッド、PHVとの価格競争も激化する(だからこそディーゼルはマツダくらいしか作っていない)。太い低速トルクに代表される魅力を持つディーゼルながら、徐々に競争力を失っていきそう。買うのなら今です! やがて車種バリエーションは減るし、価格だって高騰していく。私もしばらく自分のディーゼル車(ボルボXC60D4)に乗ろうと思う。

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