■日産/ルノー/三菱の目論見
メルセデスがEV市場で高級車ブランドとしての質の高さで勝負するとすれば、アライアンスの量的効果を利用してEV市場で戦おうとしているのがルノー/日産/三菱連合だろう。
2018年6月に日本国内で10万台を達成した、世界初の量産小型EVであるリーフだが、意外にも登場から8年ほどを経過しても、EVとしてのモデルバリエーションは限られたままだが、ルノー/日産/三菱グループは、ルノーと日産については、確実にアライアンスの効果が表れ始めている。
ルノーと日産が共同開発したCMF(Common Module Family)は前後ボディとフロア、電子機能アーキテクチャーを分割したモジュール構造を設定、A、B C/D用に組み合わせる設計が施されている。
アライアンス内では2013年に発表されたエクストレイルを手始めに、ルノーメガーヌなどのモデルにも採用され、今後はCMFの手法を採用したEV専用のプラットフォームも導入される予定。新たにアライアンスに加わった三菱もCMFを使用することになる。
現状では目立った動きは見られないとはいえ、三菱の役割が今後のEV戦略において重要になることは必然といえる。
だが、MQCやアウディが発表した量産EV「e-tron」を見ればわかるように、最近の流行にのって、売りやすくバッテリー搭載が容易なクロスオーバーモデルによって、欧米市場でのEV販売を拡大していくとすれば、EVの前後輪のモーター駆動制御のノウハウは欠かせない。
これはアライアンスの中では三菱だけがもつ“売れ筋”の技術であり、ルノーと日産に駆動力の精密な制御が可能な後輪モーターシステムを備えるモデルは存在しない。三菱が日産傘下に入って約2年、三菱のもつ電動化技術をEV開発にどう活かせるかが、アライアンスのEV市場での浮沈のカギを握ることは間違いない。
■ダイムラーのお家事情
ダイムラーはメルセデスベンツブランド用プラットフォームとしてMFA(Modular Front-wheel drive Architecture/前輪駆動、A/B/CLA/GLA)、MRA(Modular Rear-wheel drive Architecture/後輪駆動、C/E/S)、MHA (Modular High Architecture/SUV)、MSA(Modular Sports car Architecture、SLK/SL)の4種を設定、各モデルに対応している。「EQ」ブランドの基本プラットフォームとして新たに加わるMEA(Modular Electric Architecture)の使い道に微妙な要素が残されているのは、EQブランドの独立性に関わってくるからだ。
ダイムラーは2022年までに10車種のEVの投入を計画しており、大型高級セダン「EQS」を開発中であることも明らかにされている。
ただし、モデルチェンジを控えている“本家”のCクラスは「MRA2」という新プラットフォームが導入され、EV仕様はラインアップされずハイブリッド仕様のみが用意されるという話があるなど、EQブランドとして数をこなせる欧州市場のC/Dカテゴリーにどう対応するのか、思案のしどころといえるだろう。
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