国産ガソリンターボ車の長所と短所【後編/三菱、スバル、スズキ、ダイハツ】

 軽自動車を除く国産ガソリンターボ車の長所と短所を解説する本企画。トヨタ、日産、ホンダ、マツダの前編に続いて、後編では三菱、スバル、スズキ、ダイハツを紹介しよう。

  はたして、その実力はいかほどのものか? モータージャーナリストの斎藤 聡氏が評価した。

文/斎藤 聡、鈴木直也
写真/ベストカー編集部
初出/ベストカー2018年10月10日号


■三菱/ランエボで培ったターボ技術は健在!

TEXT/斎藤 聡  ※採点は100点満点

●1.5L、直4ターボ(斎藤評価:80点)

150ps/24.5kgmを発生する4B40型直噴1.5L、直4MIVECターボを搭載するエクリプスクロス

 三菱のターボ車に乗ると、4G63や4B11などで培ってきた経験が活きているのだろう、ターボの扱いに手慣れているなあと感じる。三菱ではダウンサイジングターボ化を進めており、小排気量エンジンをベースにターボを使ってトルクアップを図り、燃費とドライバビリティを両立させようと考えている。

 つまり、世間一般に浸透しているダウンサイジングターボエンジンの考え方だ。

 特に秀逸なのはターボの使い方の巧みさ。エクリプスクロスに乗ると、それがよくわかる。レスポンスがよく、アクセルを踏み込むとすばやくトルクが膨らみ、1.5Lという比較的小さな排気量を感じさせないトルクの厚みを発揮してクルマを加速してくれる。

 この4B40型ターボエンジン、全開加速だけでなく、アクセルを少し踏んだ緩加速領域でもそれがちゃんとできている点が巧いと思う。

 ただ、ターボのレスポンスをよくするためには(コストに制約があるかぎり)、排気量に合った小さなターボを使わなくてはならず、そのぶん全開加速時の迫力がなくなってしまっているのが残念なところだろう。

■スバル/ターボ化への過渡期真っただ中で2019年に切り替わる!

TEXT/斎藤 聡  ※採点は100点満点

●1.6L、水平対向4気筒ターボ(FB16型)(斎藤評価:70点)

レヴォーグ1.6に搭載されているFB型1.6Lターボは170ps/25.5kgmを発生

●2L、水平対向4気筒ターボ(FA20型)(斎藤評価:60点)

FA20型2L、水平対向4気筒直噴DITターボは300ps/40.8kgmを発生。WRX S4とレヴォーグ2.0に搭載されている

●2L、水平対向ターボ(EJ20型)(斎藤評価:65点)

デビューから30年が経過するEJ20型2L、水平対向4気筒ターボは308ps/43.0kgmを発生。WRX STIタイプRA-Rは329ps/44.0kgmまで高められている

 現在、ターボ化への過渡期真っただなかなのがスバル。実はスバルは2014年にスバル中期計画のなかで2019年に新エンジンの導入を明記している。

 つまり、来年からスバルのエンジン戦略が明確に見えてくる。今のところ、2019年登場のエンジンはダウンサイジングターボといわれており、現在主力のFA20ターボが1.8Lターボに置き換わるらしい。

 また翌2020年にはFB16ターボに代わるFB15ターボが登場するようで、来年か再来年あたりには水平対向直噴ターボエンジンの熟成、進化の度合いも見えてくるはず。

 現行ターボエンジンだが、EJ20ターボは、過去にチタンタービンを使うなど、タービン側にレスポンスのよいものを使って、ターボレスポンスとパワーの両立を図ってきた。そのノウハウが生かされており、今でも速さと気持ちよさで魅力は衰えていない。

 ただし、エミッションと燃費は厳しい。設計の古いこのエンジンでいまだに現行のエミッションをクリアしているのだから、エンジニアの努力には拍手を送りたいのだけれど……。

 これに替わる次世代のターボとして登場したのがFA20ターボだが、EJ20のパフォーマンスを超えていない。パフォーマンスもエミッションもまだ改善の余地がありそう。

 そんななか、ひとつの方向性を示しているのが1.6LのFB16ターボだと思う。ほかのスバルのターボと違い、フワッとすばやくトルクが膨らむセッティングで、トルク感があるのに穏やかで扱いやすいエンジンに仕上がっている。あえて不満を言えば、実燃費はビックリするほどいいワケではなく残念。

■スズキ/小さなターボでパワフルに!

TEXT/斎藤 聡  ※採点は100点満点

●1L、直3ターボ(斎藤評価:75点)

スイフトRSt、バレーノに搭載されているK10C型1L、直3ターボは102ps/15.3kgmを発生

●1.4L、直4ターボ(斎藤評価:65点)

スイフトスポーツに搭載されているK14C型直4、1.4Lターボは140ps/23.4kgm。エスクードのK14C型1.4Lターボは136ps/21.4kgm

 大排気量エンジンを持たないスズキだが、ターボを導入してのエンジンのダウンサイジングは、世界的なエンジンのダウンサイジング化の流れに乗っている。

 小さなエンジンを、ターボを使ってパワフル(トルクフル)に仕立てるのは、軽自動車を得意とするスズキにとっては別段新しいことではない。

 これまで軽自動車でやってきたことを乗用車でやればいいだけのこと。豊富なノウハウを持っているから、セッティングの抑揚の付け方にもメリハリがある。

 その好例がスイフトのふたつのターボだろう。スイフトRStの1L、直3ターボは、マイルドターボ的な味つけで、低中回転域のトルクを膨らませ、日常域でのドライバビリティを高める味つけとなっている。

 6速ATを組み合わせるあたりもターボによる低中回転域のトルク感を感じさせるためだ。比較的小さいサイズのタービンを使い、低中回転域のトルクを膨らませることで加速に力感を出し、6速ATを組み合わせることで伸び感を補足している。

 一方、スイフトスポーツの1.4L、直4ターボは、ターボラグを恐れず低回転域のトルクよりも中高回転域のトルクとパワーの伸び感を重視した味つけ。エントリースポーツカーとしてややピーキーではないか? という見方もできるが、ターボエンジンらしい刺激をアクセントにすることで、単に速いだけでなく面白さも加味している。

 あえて不満を挙げれば、せっかく育ててきたこれまでの1.6L、NAエンジンをあっさり手放してしまったこと。1.4Lターボのセッティングがややピーキーで、初心者向けでないこと。

■ダイハツ/そこそこの燃費で扱いやすい!

TEXT/斎藤 聡 ※採点は100点満点

●1L、直3ターボ(斎藤評価:50点)

ダイハツトール(兄弟車のトヨタタンク&ルーミー、スバルジャスティ)に搭載されている1L、直3ターボは98ps/14.3kgmを発生

 トールに搭載した1Lの3気筒ターボについて、ダイハツでは「NA1.5L相当のトルクを幅広い回転域で発揮する」と言っている。

 実際のところ、ターボのレスポンスが特別鋭いとか、エンジンが特別シャープに回るということはないが、低中回転域のトルク感はかなり充実しており、CVTとのマッチングもあって、普通に使いやすいエンジンに仕上がっている。

 これはエンジン自体の性能というよりもCVTとの組み合わせを含めたトータルチューンによるところが大きいと思う。

 JC08モード燃費は1L3気筒、NAが24.6km/Lだが、この1L、3気筒ターボは21.8km/L。最高の燃費性能を求めず、そこそこに優秀な燃費性能を備え、特別にシャープではないけれど普通に使いやすいエンジンをあえて作ったところが興味深いところだ。

 コストパフォーマンスの点ではとてもリーズナブル。不満はエンジンの面白みのなさだ。

■軽で一番楽しいターボは?

TEXT/鈴木直也

 今の軽は、64psまでという最高出力の自主規制が悪い方向に出てしまっているような気がする。実際、最近の軽にターボは必要ないと思っているユーザーも多いらしく、売上的には下がってきているようだから。

 N-BOXのNAはよくできているね。ただ、乗っていて、最も楽しい軽のターボはアルトワークスだろう。S660も専用チューンだけど、エンジン単体で比べてみるとワークスのほうがパワー感もトルク感もあるしね。

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