■トヨタの車種統合(廃止)はこの先も進むのか
車種の統廃合は7年後の2025年に向けて一段と進むのは間違いない。全系列店が同じ車種を扱うのだから、同じトヨタ車で競合関係にある車種は、どちらかがなくなる可能性が強い。
姉妹車だとアルファード/ヴェルファイア、ヴォクシー/ノア/エスクワイア、ルーミー/タンク、ポルテ/スペイド、プレミオ/アリオンは統合され、最も販売台数の多いモデルに集約されるはず。
プレミオ/アリオンはカローラ・アクシオと競合するので両モデルともなくなってしまうかも知れない。ポルテ/スペイドはルーミー/タンクと同じようなコンセプトだから両モデルとも整理対象の運命にあると考えてよい。
■現行トヨタ車のなかで消えてゆきそうな車種は
姉妹車の解消のほかには、マークX、エスティマ、プリウスα、86などが上げられる。いずれも次期型ないし後継モデルの開発プロジェクトは動いていない。
マークXは今年中か2019年前半にはモデル廃止の見込みである。
エスティマは「電気自動車のパワーユニットを搭載するのではないか」という情報もあるが、これとは違うもっとコンパクトなボディに第1号として搭載する可能性が強い。プリウスαもマーケットニーズがあまりないので廃止が濃厚である。
86はスバルとの共同開発であるが、次期型の開発計画が動いていない。モデルサイクルが長い車種ではあろうが、このままでは一代限りで消滅してゆく可能性が高い。
■トヨタは日本の市場をどうしたいのか
トヨタは日本の新車市場が今後年間500万台規模にとどまり続けると予想している。
こうした中で、トヨタがこのうち150万台、シェア33%を安定的に確保するには、どういった販売体制をつくったらよいかを考慮している。
それにはトヨタ系列店を1本化し、レクサス店との2系列店態勢がベストであり、トヨタブランドの4系列店は1チャンネルに集約すべきとのスタンスである。
そのために車種を削減し、系列店の統廃合を進めようとしている。
ただ前述のように、現在は地域によって販売店ごとの力関係の差が大きく、なかでもトヨタ店系列会社は多くが経営基盤のしっかりした地場資本である。こうした会社の経営改革はすぐにはできないので、当面は4系列店の法人は残し、全店併売体制を構築するとの戦略を打ち出したものと思われる。
■首都圏営業マンの反応は
◎トヨタ店
「これまでクラウンを(トヨタ店系列で)独占的に扱ってきたのが、他系列店でも売るようになるのは厳しい。乱売競争になり、収益・下取り車価格も落ちるようになるのを心配している。他の扱い車も含めて、固有のユーザー80%の代替え母体が存在しているので、がっちりと守ってトヨタ系列店同士の競争に打ち勝っていかなければならないだろう。いっぽう歓迎したい面もある。たとえばスティマの次期型がなくても、アルファードやヴェルファイアを扱えるようになるのは大歓迎だ」
◎トヨペット店
「トヨペット店にとってはハリアーの専売を失うが、代わりにクラウンが扱えるようになるのでメリットのほうが大きいと考えている。クラウンはマークXや歴代マークIIの上級シフトユーザーに代替えを要請できるのでありがたい。マークXがなくなる穴を十分に埋められるだろう。カローラもプレミオがなくなる代わりを十分にしてくれるに違いない。競争は厳しくなるだろうが、チャンスは拡大するだろう」
◎カローラ店
「カローラの専売がなくなるのは痛いが、その代わりにクラウン、ハリアー、アルファードなどの有力モデルが扱えるようになるのでメリットはある。ヴィッツはこれまでも専売のパッソがあったので、販売戦略への影響は少ない。これまでもトヨタ系列店同士の競合は頻繁にあったので、販売競争は慣れっこだともいえる。サバイバル戦に生き残るべく必死に売りまくるだけだ」
◎ネッツ店
「クラウン、ハリアー、カローラを扱えるようになるのは朗報だが、果たして新規のお客さんをどれだけ獲得できるか不安はある。上級モデルは他の3系列店との競争になるが、ネッツ店は不得意な分野だから、シェア争いには不利になるかも知れない。
ヴェルファイア、ヴォクシーはこれまで姉妹車争いでリードして来たが、今後は専売でなくなるので泥仕合になるかも知れない」
コメント
コメントの使い方