被害者は誰か? どう償うのか? ゴーン逮捕劇が日本自動車界に与える影響


■日産と三菱は「下がりきっている」状態

さらにいえば、本件は三菱自動車にも少なくない影響が生じるだろう。

カルロス・ゴーン氏は三菱の会長も務めるからだ。三菱は、日産ほどゴーン色は強くないが、会長に招いた以上影響は避けられない。

ただし国内販売において、メーカー別販売ランキングの順位が後退するほどの影響は生じない。なぜなら日産と三菱のブランド別国内総販売ランキング順位は、カルロス・ゴーン氏が不祥事を起こす前から下がりきっていたからだ。

部品の共用化や開発の方向性調整など、現代の自動車界では「規模」が重要な要素を占める。だからこそ世界販売台数で日産グループがトップに立ったことは重要な意義があった。しかしその恩恵が日本市場にもたらされるのは、かなり先の話。まず足元は、日産ブランドは5位、三菱ブランドは8位という状況だった

目下のところ国内におけるメーカー別の販売順位を見ると、乗用車メーカー8社のうち、日産はトヨタ/ホンダ/スズキ/ダイハツに次ぐ5位になる。三菱はマツダとスバルよりも低く、最下位の8位だ(2018年1〜10月累計/軽自動車含む)。

日産の国内店舗数は、ホンダの2200箇所に次いで多い2100箇所になる。マツダが1000箇所弱、スバルは約460箇所だから、今回の一件が販売にどれだけ悪影響を与えても、日産がマツダに抜かれて6位に転落することはない。

しかし長い期間で見れば分からない。ブランドイメージが悪い時間が長引くと、日産、三菱ともに売れ行きをさらに下げるからだ。

そうなると今後の日産と三菱は、マイナスのゴーンショックを回復すべく、尽力する必要がある。その手段は、国内における優れた商品投入と、入念な顧客サービス以外にあり得ない。

なぜなら日産と三菱は、自動車メーカーであるからだ。

日産、三菱ともに今までは海外向けの商品開発に力を注ぎ、日本における商品力は大幅に下落していた。その結果が前述の販売ランキング順位だ。そこを改めないかぎり、日産と三菱の回復は望めない。

数年後に今を振り返った時、「苦しい状況に陥ったが、あの不祥事をきっかけに、日産と三菱は見違えるように立ち直った」と思えるようになってほしい。

メーカーを本当に救えるのは、社長でも会長でもない。クルマと顧客サービスという「商品」である。