スバルの「いまの実力」と「足りないもの」5選

■スバルに足りないモノ、改善してほしいこと

 車種ごとの評価をしてもらったが、続いて、より踏み込んで、スバルに足りないモノ、改善してほしいことを挙げてもらった。

1989年のレガシィとともにデビューした名器EJ20エンジン

1/EJ20エンジンに変わるエンジンが不安

 2017年4月、100周年を迎え、社名を富士重工業からSUBARUに変え、次の100年に向かって動き始めた。スバルは好調に販売を伸ばしているが、けん引しているのは北米市場である。

 リーマンショックの余波を上手に受け流し、その後はアウトバックとフォレスターが順調に販売を伸ばし続けた。この二大柱に加え、インプレッサも好調だ。日本だけでなく世界をターゲットにしたことにより、クオリティは大幅に引き上げられている。

 が、世界を強く意識するように方向転換したことにより、ボディサイズは大きくなった。走りの味付けもそれまでとは違ったものになっている。

 当然、走りの質や操る楽しさにこだわる熱狂的な日本のスバリストのなかには、この方針に反発する人も少なくなかった。その多くは初代レガシィに搭載され、今も現役を貫いているEJ20型水平対向4気筒DOHCターボエンジンに強い思い入れを抱いている人たちだ。

 噂されているように、SGPを採用した次期WRX STIは、EJ20型エンジンではなく新世代のFA20型DOHC直噴ターボになると言われている。

 基本設計のEJ20型エンジンでは電動化時代に対応できないからだ。EJ20型はすでに限界が見えているが、FA20型とFB20型エンジンはまだまだ伸びしろがある。ボア、ストロークともに86mmのスクエア設計だ。が、チューニングを施したFA20型エンジンはレブリミットが8000回転まで引き上げられ、EJ20型と遜色ないレベルに達した。

 ボクもEJ20マニアで、30万km以上を走り込んだパートナーだから未練がある。が、FA20型エンジンも新たなボクサー神話を築いてくれるはずだ。

 スバルは電動化でライバルに後れを取っている。FA20型エンジンには電動化の時代の切り札になってほしいと思う。

2/マイルドハイブリッドではなく、フルハイブリッドを早く搭載して!

 スバルは、早い時期にR-1eやステラEVを開発した経験を持つ。モーターやバッテリーに対する知識やノウハウは豊富だ。有能なエンジニアもたくさんいる。

 ハイブリッド車のe-BOXERはモーターが小さいし、バッテリー容量も少ない。だからターボに代わるほどの瞬発力は期待できないし、燃費もいま一歩の上乗せにとどまっている。

 ターボが主役だったスバルには2モーター以上の本格的なハイブリッド車やプラグインハイブリッド車が不可欠だ。

 当然、運転して愉しい、気持ちいいハイブリッド車でないとファンは喜ばないだろう。燃費はトヨタにおよばなくても気持ちいいハイブリッド車を期待するファンは多いはず。

 現実的には前述した北米版XVのクロストレックPHEVが、2018年内にはラインアップされるが、日本市場には導入されない。しかし、インプレッサやフォレスターのPHEVを日本で発売する可能性はある。

 その先にあるEVも同様だ。低速からパワーとトルクが盛り上がるから痛快な加速を楽しめる。重心も低いから、ハンドリングもいいはずだ。

3/CVTをやめ、8速AT、9速ATにしてほしい! 

 トランスミッションに不満を抱いているスバリストも多い。今はリニアトロニックと呼ぶCVTがほとんどで、MT車もSTIなど、一部に限定されている。MTももっと増やすべきだ!

 キレのいい変速を楽しめるツインクラッチの2ペダルマニュアル(DCT)も魅力だ。が、ホンダやベンツの例を見てわかるように、意外にトラブルが多いのが不安材料である。スポーティモデルの多いスバルに最適なのは、多段化したオートマチックではないかと思う。

 8速もしくは次世代の9速ATなら気持ちいい変速を楽しめるだろう。実用燃費に関してもCVTに肉薄するはずである。クルマによってATとCVTを使い分けてもいい。

 贅沢な要望かもしれないが上質な6気筒のEZボクサーエンジンも復活してほしい。もちろんこれには多段化したATは不可欠だ。6気筒は環境問題もあって難しいが、上質な味を好むファンには魅力的と映るはずだ。ドイツのメーカーのようにハイブリッド車にする手もあると思う。

4/もっと小排気量のダウンサイジングターボを!

1966年に登場したスバル初の量産小型車、スバル1000。1L、水平対向エンジンを搭載していた

 ターボもまだやりようがあると思う。ヨーロッパではダウンサイジングターボが主役となって魅力的なターボ搭載車が増えている。

 現在スバルは1.6Lターボが最小で、現在新開発しているダウンサイジングターボエンジンは1.5Lと1.8Lと言われているが、さらに小排気量の1.2Lや1.3Lターボを開発するのも手ではないか。

 いや、ここで原点といえるスバル1000に先祖帰りし、1L水平対向エンジンを開発してみてはいかがでしょう?

5/WRC復帰

 WRCの現在のカテゴリーにはスバル車のラインアップはないが、Bセグメントのクルマを独自開発するか、トヨタから供給を受けるなど、なんとしてでもWRCに復帰してほしい。かつてラクティス/トレジアがあったようにスバルとトヨタが共同開発した例もあるで、できなくはないと思う。

 ニュルブルクリンク24時間レースやスーパーGTに挑むのも悪くないが、WRCに復帰してほしいと願っているファンが一番多いはずだ。スバル=ラリーのイメージを再び築いてほしい。

スバルは2008年シーズンをもってWRC参戦を休止した。休止してから10年も経ってしまった。ぜひWRCに復帰してほしい!

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!