新型カローラセダンがカッコいい!!! 最近のトヨタデザインはマシになっているのか?

■現行トヨタ車のデザインを辛口評価

 といっても、トヨタ車のデザインがみんなよくなったわけではなく、ダメなデザインも多い。なにしろトヨタはモデル数が多く、幅広い顧客層を持っているから玉石混交。ブランド統一デザインも実行していないし、バラツキが大きいのだ。

 そこで、トヨタの主要車種について、簡単にデザイン評価をしてみた。評価は、故・前澤義雄氏(元日産自動車デザイナー)っぽく、「とてもいい」「悪くない」「いまひとつ」「ダメ」の4段階とした。

■ヴィッツ(MC)

2017年1月のマイナーチェンジでフェイスリフトし、大きくイメージチェンジ

 顔はアイゴ風で改善されたが、リアは重心を低く見せようとするあまり、とってつけたアーチが浮いている。

 大きくなったテールランプの造形も浮いている。現行ヴィッツはフォルムそのものがダメなので、フルチェンジを待つしかない。

評価/「ダメ」

■タンク四兄弟

右上からトヨタタンク、左上トヨタルーミー、左下ダイハツトール、右下スバルジャスティ

 ハコ型のフォルムを鍛えることなく、安っぽい折り目でごまかしているように見える。

評価/「ダメ」

■クラウン

これまでクラウンは太いCピラーが採用されてきたが、歴代モデルで初めて6ライトウインドウを採用

 スポーティに見せるために6ライトに変更したが、それ以外に見るべき部分はなく、逆にバランスを崩してしまった。

評価/「いまひとつ」

■カムリ

歴代カムリのなかで最もマシになったと思えるのだが……

 ビューティフルモンスターを自称しているが、ぐわっと開いた口(グリル)と、その中のフィンがエグいだけで、フォルム全体はやや凡庸。悪くはないが、特に見るべき部分はない。

評価/「いまひとつ」

■レクサスLS

高級サルーンのなかでは攻めてはいるのだが……

 レクサスLSは、フォルムをスポーティにしただけで、攻めの姿勢が空回りしているように思う。

評価/「いまひとつ」

■プリウス

あたりさわりのない、よくいえばまともになったマイナーチェンジ版プリウス

 トヨタの現行モデルのなかで、デザインの評判が最も悪いのは、現行プリウスだろう。
確かにプリウスのフロントフェイスは、ランプ形状があまりにも複雑すぎたきらいはあるが、個人的には、攻めている点に好感を抱いている。

 あの顔を斜め上から見ると、歌舞伎の隈取り。そういうところで、日本文化を表現しようとしたのだろう(たぶん)。

 顔はともかくとして全体のフォルムを見ると、歴代プリウスのなかでは断然流麗でスピード感に満ちている。明確なウェッジシェイプのサイドビューには、これまでのエコカーの節約イメージはまったくないし、キュッと持ち上がったテールはセクシーさすらある。実を言えば私は、プリウスがテールランプを点灯させた姿が好きなのです。

 そんなプリウスだが、主力市場である日本・北米の双方でデザインの評判が悪いため、ついにフツーの顔になってしまう。しかしそのフツーのプリウス、現在に比べると明らかに凡庸で、デザイン的には後退している。これも攻めすぎたゆえではあるが……。

評価/「悪くない」

■アルファード

鬼瓦のような強面顔のアルファード。いまやミニバン界の頂点に君臨する

 プリウスに次いでクルマ好きに評判が悪いのは、アルファードの顔ではないだろうか。あれも攻めに攻めている。一度見たら決して忘れられない、蛇女ゴーゴンのようだ。

 あのエグさが許せない、景観破壊だという声もあるだろうが、今まで見たことがない驚きに満ちていたことは間違いない。

 私はアルファードのあの超絶銀歯グリルも好きだ。クルマのデザインとは、基本的には新しい造形への挑戦であるべきなのだ。

 もちろんアルファードを自分で買うことはないし、あの顔にアオられたら気分は最悪だが、しかし凡庸であるよりははるかにいい。

 アルファードの顔は、鬼瓦のようなもの。欧米の価値観とは相容れないだろうが、アジア圏では非常に好評だ。アルファードの顔は、確かに新しい世界を切り拓いたのだ。これもまた「悪くないデザイン」である。

評価/「悪くない」

■カローラスポーツ

カローラやハッチバックのオーリスなどを含め、一番若返りが図れたんじゃないかと思うほど斬新なデザイン

 スポーティに振ってリアガラスの傾斜を強め、ラゲージ容量を犠牲にした割にはカッコよく見えないが、全体のバランスは悪くない。

評価/「悪くない」

■新型カローラセダン

どこか欧州車的な雰囲気を感じさせるカローラセダン

 ヴィッツベースで作られた現在の国内向けカローラアクシオ/フィールダーのデザインは、あまりにもやっつけ仕事で安っぽく、どうにもならなかった。マイナーチェンジでデカ口を移植してやや見られるようになったが、しょせんとってつけたエグ味だった。

 先日の広州モーターショーで公開された新型のカローラセダンは海外向けで、国内仕様は若干全幅を狭めるなどして登場するが、カローラスポーツ同様、悪くないバランスになると期待される。

評価/「悪くない」

■カローラツーリングスポーツ

2018年9月のパリオーショーで公開されたカローラツーリングスポーツ。ハッチバックからホイールベースを60mm延長された2700mm

 セダンに比べると伸びやかでスタイリッシュ。しかし、ラゲージ容量を若干犠牲にしてまでスポーティなフォルムを実現したわりには、それほどスタイリッシュではなく、ほどほどレベルにとどまっている。

 発売は、セダンと同時、2019年後半になるだろう。

評価/「悪くない」

■C-HR

ガンダムチックではあるが市場ではSUVナンバー1を獲得するなど広く好評だ

 C-HRについても、賛否は分かれているが、攻めのデザインである点は同じ。思い切ってアニメ的な造形を取り入れて、未来感を演出しつつ、全体のバランスは良好で、決して取ってつけたようではない。全身でSFアニメ的であろうとしている。力作である。

評価/「とてもいい」

■センチュリー

伝統を壊すことなく継承しながらモダンなデザインとしたセンチュリー

 受け継いできた古臭いモチーフを、見事にモダンに昇華させている。これまでの3代のセンチュリーの中でもベスト。これこそ洗練・熟成のキープコンセプトだ。

評価/「とてもいい」

■シエンタ

2018年9月11日にマイナーチェンジが行われた。フロントバンパー、フロントグリル、ヘッドランプ、リアアンプ、ホイールキャップなどのデザイン変更が行われたほか、アウトドアや車中泊に最適な2列シート車を設定した

 このサイズで、実用的な広さの3列シートを持つバッケージングを実現しつつ、顔の隈取りなどのインプレッシブなグラフィックで、とても楽しいデザインに仕上がっている。シエンタをベースに作られたJPN TAXIも、剽軽な味わいがあり秀逸だ。

評価/「とてもいい」

 以上、主な現行トヨタ車のデザインを評価してみたが、とてもいいが3台、悪くないが5台、いまひとつが3台、ダメがヴィッツとタンク四兄弟という結果になった。

 全車種評価したわけではないが、この結果をみると、マシになったとはいえないようだ……。

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