新型カローラセダンがカッコいい!!! 最近のトヨタデザインはマシになっているのか?

 トヨタ車のデザインは悪い……。そんなふうに言われてから幾年が経ったのでしょうか? 

 そんななか、2018年6月にカローラスポーツがデビューし、そのスタイルを見て「トヨタのデザインが変わってきたのでは?」と、思った方も多いのではないでしょうか。

 そして、2018年11月の中国・広州モーターショーで発表されたカローラセダンとツーリングのデザインを見て担当は、はからずも「え、マジ? カッコいい!!!」と思ってしまいました。

 もしや、トヨタのデザインは、大きく変わったのでしょうか? 何かが起きているのでしょうか? 

 そこで、現行車のデザインをチェックしながら、トヨタのデザインはマシになったのか、モータージャーナリストの清水草一氏が改めて検証します。

文/清水草一
写真/ベストカー編集部、トヨタ


■トヨタがデザインで攻めの姿勢に転じたのはいつ?

左からワゴンのツーリング、ハッチバックのカローラスポーツ、セダン

2018年11月16日、中国・広州モーターショーで初公開となったカローラセダン。全長4640×全幅1780×全高1435mm、ホイールベース2700mmで、現行型カローラセダン(全長4400×全幅1695×全高1460mm、ホイールベース2600mm)と比べるとかなり長く広く低くなる

まるで欧州車のツーリングワゴンを感じさせるカローラツーリング。これまでのフィールダーから格段にレベルアップしていると感じるのは担当だけだろうか

 新型カローラスポーツ(ハッチバック)の世界初披露は北米で、カローラツーリング(ワゴン)は欧州で、そしてセダンは中国で実施された。タイミングの問題とはいえ、日本はかなり遅れての披露となり、ちょっとさみしい

 クルマ好きの間では、トヨタ車のデザインの評判は概して悪い。かつてトヨタデザインは、万人に嫌われない超人畜無害なものが多かった。

 しかし現在は、明らかに変わった。嫌われることを恐れずに、新しいカタチに挑戦している。それが一部のクルマ好きの強い反発も生んでいるが、「挑戦のないところに未来はない」という思いは伝わってくる。

 トヨタデザインが「攻め」の姿勢を明確にしたのは、福市得雄氏がデザイン責任者になってからではないだろうか。

 福市氏は、初代エスティマや初代アルファード、iQなどのデザインに関わったデザイナーだが、2008年に子会社の関東自動車に出向していた。

 しかし、「もっともっといいクルマを!」の掛け声のもと、デザイン改革も志した豊田章男社長より、2011年にトヨタに呼び戻され、デザイン本部本部長に就任。現在も、チーフブランディングディレクターとして、レクサスを含む全トヨタ車のデザインを統括している。

福市得雄さん。1974年多摩美術大卒、同年トヨタ自工入社。1999年第3デザイン部部長、2003年デザイン管理部部長、2004年トヨタヨーロッパデザインディベロップメント社長、2008年関東自動車執行役員、2011年1月よりトヨタ自動車デザイン本部長、常務役員、2012年よりレクサスインターナショナルエグゼクティブヴァイスプレジデント、2013年専務役員、クラウンのデザインディレクター、2014年レクサスインターナショナルプレジデントを歴任。2018年現在、トヨタのチーフブランディングオフィサー。主な担当車種は初代エスティマ、7代目カローラ、初代アルファード、iQ など

 私は数年前、福市氏と一度お話しする機会があったが、「失敗を恐れて守りに入ったら、絶対にダメなんです」という趣旨のことを語られていた。

 先代クラウンの逆クリスマスツリーグリルも、そういう攻めから生まれたものだ。あれも万人には受けなかったし、結局新たな顧客層も開拓できなかったが、しかし福市氏の捨て身感は十分伝わってきた。

■現行トヨタ車のデザインを辛口評価

 といっても、トヨタ車のデザインがみんなよくなったわけではなく、ダメなデザインも多い。なにしろトヨタはモデル数が多く、幅広い顧客層を持っているから玉石混交。ブランド統一デザインも実行していないし、バラツキが大きいのだ。

 そこで、トヨタの主要車種について、簡単にデザイン評価をしてみた。評価は、故・前澤義雄氏(元日産自動車デザイナー)っぽく、「とてもいい」「悪くない」「いまひとつ」「ダメ」の4段階とした。

■ヴィッツ(MC)

2017年1月のマイナーチェンジでフェイスリフトし、大きくイメージチェンジ

 顔はアイゴ風で改善されたが、リアは重心を低く見せようとするあまり、とってつけたアーチが浮いている。

 大きくなったテールランプの造形も浮いている。現行ヴィッツはフォルムそのものがダメなので、フルチェンジを待つしかない。

評価/「ダメ」

■タンク四兄弟

右上からトヨタタンク、左上トヨタルーミー、左下ダイハツトール、右下スバルジャスティ

 ハコ型のフォルムを鍛えることなく、安っぽい折り目でごまかしているように見える。

評価/「ダメ」

■クラウン

これまでクラウンは太いCピラーが採用されてきたが、歴代モデルで初めて6ライトウインドウを採用

 スポーティに見せるために6ライトに変更したが、それ以外に見るべき部分はなく、逆にバランスを崩してしまった。

評価/「いまひとつ」

■カムリ

歴代カムリのなかで最もマシになったと思えるのだが……

 ビューティフルモンスターを自称しているが、ぐわっと開いた口(グリル)と、その中のフィンがエグいだけで、フォルム全体はやや凡庸。悪くはないが、特に見るべき部分はない。

評価/「いまひとつ」

■レクサスLS

高級サルーンのなかでは攻めてはいるのだが……

 レクサスLSは、フォルムをスポーティにしただけで、攻めの姿勢が空回りしているように思う。

評価/「いまひとつ」

■プリウス

あたりさわりのない、よくいえばまともになったマイナーチェンジ版プリウス

 トヨタの現行モデルのなかで、デザインの評判が最も悪いのは、現行プリウスだろう。
確かにプリウスのフロントフェイスは、ランプ形状があまりにも複雑すぎたきらいはあるが、個人的には、攻めている点に好感を抱いている。

 あの顔を斜め上から見ると、歌舞伎の隈取り。そういうところで、日本文化を表現しようとしたのだろう(たぶん)。

 顔はともかくとして全体のフォルムを見ると、歴代プリウスのなかでは断然流麗でスピード感に満ちている。明確なウェッジシェイプのサイドビューには、これまでのエコカーの節約イメージはまったくないし、キュッと持ち上がったテールはセクシーさすらある。実を言えば私は、プリウスがテールランプを点灯させた姿が好きなのです。

 そんなプリウスだが、主力市場である日本・北米の双方でデザインの評判が悪いため、ついにフツーの顔になってしまう。しかしそのフツーのプリウス、現在に比べると明らかに凡庸で、デザイン的には後退している。これも攻めすぎたゆえではあるが……。

評価/「悪くない」

■アルファード

鬼瓦のような強面顔のアルファード。いまやミニバン界の頂点に君臨する

 プリウスに次いでクルマ好きに評判が悪いのは、アルファードの顔ではないだろうか。あれも攻めに攻めている。一度見たら決して忘れられない、蛇女ゴーゴンのようだ。

 あのエグさが許せない、景観破壊だという声もあるだろうが、今まで見たことがない驚きに満ちていたことは間違いない。

 私はアルファードのあの超絶銀歯グリルも好きだ。クルマのデザインとは、基本的には新しい造形への挑戦であるべきなのだ。

 もちろんアルファードを自分で買うことはないし、あの顔にアオられたら気分は最悪だが、しかし凡庸であるよりははるかにいい。

 アルファードの顔は、鬼瓦のようなもの。欧米の価値観とは相容れないだろうが、アジア圏では非常に好評だ。アルファードの顔は、確かに新しい世界を切り拓いたのだ。これもまた「悪くないデザイン」である。

評価/「悪くない」

■カローラスポーツ

カローラやハッチバックのオーリスなどを含め、一番若返りが図れたんじゃないかと思うほど斬新なデザイン

 スポーティに振ってリアガラスの傾斜を強め、ラゲージ容量を犠牲にした割にはカッコよく見えないが、全体のバランスは悪くない。

評価/「悪くない」

■新型カローラセダン

どこか欧州車的な雰囲気を感じさせるカローラセダン

 ヴィッツベースで作られた現在の国内向けカローラアクシオ/フィールダーのデザインは、あまりにもやっつけ仕事で安っぽく、どうにもならなかった。マイナーチェンジでデカ口を移植してやや見られるようになったが、しょせんとってつけたエグ味だった。

 先日の広州モーターショーで公開された新型のカローラセダンは海外向けで、国内仕様は若干全幅を狭めるなどして登場するが、カローラスポーツ同様、悪くないバランスになると期待される。

評価/「悪くない」

■カローラツーリングスポーツ

2018年9月のパリオーショーで公開されたカローラツーリングスポーツ。ハッチバックからホイールベースを60mm延長された2700mm

 セダンに比べると伸びやかでスタイリッシュ。しかし、ラゲージ容量を若干犠牲にしてまでスポーティなフォルムを実現したわりには、それほどスタイリッシュではなく、ほどほどレベルにとどまっている。

 発売は、セダンと同時、2019年後半になるだろう。

評価/「悪くない」

■C-HR

ガンダムチックではあるが市場ではSUVナンバー1を獲得するなど広く好評だ

 C-HRについても、賛否は分かれているが、攻めのデザインである点は同じ。思い切ってアニメ的な造形を取り入れて、未来感を演出しつつ、全体のバランスは良好で、決して取ってつけたようではない。全身でSFアニメ的であろうとしている。力作である。

評価/「とてもいい」

■センチュリー

伝統を壊すことなく継承しながらモダンなデザインとしたセンチュリー

 受け継いできた古臭いモチーフを、見事にモダンに昇華させている。これまでの3代のセンチュリーの中でもベスト。これこそ洗練・熟成のキープコンセプトだ。

評価/「とてもいい」

■シエンタ

2018年9月11日にマイナーチェンジが行われた。フロントバンパー、フロントグリル、ヘッドランプ、リアアンプ、ホイールキャップなどのデザイン変更が行われたほか、アウトドアや車中泊に最適な2列シート車を設定した

 このサイズで、実用的な広さの3列シートを持つバッケージングを実現しつつ、顔の隈取りなどのインプレッシブなグラフィックで、とても楽しいデザインに仕上がっている。シエンタをベースに作られたJPN TAXIも、剽軽な味わいがあり秀逸だ。

評価/「とてもいい」

 以上、主な現行トヨタ車のデザインを評価してみたが、とてもいいが3台、悪くないが5台、いまひとつが3台、ダメがヴィッツとタンク四兄弟という結果になった。

 全車種評価したわけではないが、この結果をみると、マシになったとはいえないようだ……。

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