BMWとの協業でスポーツカーの新しいカタチ
さて、新型スープラは、BMWとの協業という形で復活を遂げた。2012年にスバルとの共同開発で発売に漕ぎつけた「86/BRZ」のように、トヨタは他メーカーとコラボレートしてスポーツカーを開発するという道を選んだわけだ。
これに関しては賛否両論あるだろう。スポーツカーは自動車メーカーの“顔”であり、ブランドイメージを代表する存在。それにも関わらず、他メーカーと基本部分が同じでいいのか。独自に開発すべきではないのか。そうした意見もあるだろう。
だが、今や1社単独開発・専用設計のスポーツカーで採算を合わすのはそう簡単ではない。
「じゃあスポーツカーはなくなってもいいのか?」
そんな問いに対する一つの答えが、新型スープラであり、86という存在なのだろう。依然としてスポーツカーに厳しい市場環境を見れば、メーカーを横断したスポーツカー作りは、今後の新しいカタチになるのではないだろうか。ユーザーにとっても1社単独で実現しないモデルが、協業によって世に出るならばメリットは大きい。
大事なのは「どこと一緒に作ったか」ではなく、「良い車かどうか」だろう。スポーツカーは「出したら終わり」という車ではない。そこから如何に熟成を重ね、“作り続けられるか”によって、後の評価やメーカーにもたらす意義は大きく変わってくる。
脇阪氏は最後にこう付け加えた。
「スープラの復活はA80があり、そして豊田社長と成瀬さんのストーリーがあってこそ。僕自身スープラにお世話になったからこそ、この復活が本当に嬉しいし、感謝しています」
「それと同時に、スープラ=直列6気筒エンジンのFRスポーツカーというのは今までの話で、将来的なことを考えると、僕はそうやなくても良いと思っているんです」
新型はスープラとして通算5代目のモデルとなる。その歴史の中で、「セリカXX」という車名だった初代から2代目、2代目から3代目へとブランドを育ててきた。一旦は途切れた歴史が新型スープラとして蘇ったのも、先代A80の存在があったからこそだ。
しかし、これからの自動車を取り巻く環境を考えれば、「直6・FR」の車を作れない時代がやってくるかもしれない。だからこそ、今度のスープラは真価が問われる。
新型スープラが新たな“トヨタを象徴するスポーツカー像”を提示できれば、それは必ずや次のスープラにも繋がってゆく。
新型スープラの勝負は、ここからが本番だ。
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