■雪上のランエボじゃないかと思うほどガンガン攻められる!
実際に走ってみると、追い込んでアンダーステアが強まってからの「粘り」に感心する。低ミュー路ではステアリングを切り増してもコーナリングパワーがすぐ頭打 ちになるが、巧みなスタビリティ制御とトラクションコントロールでしぶとく頑張ってくれる安心感がある。
また、深い雪でスタックしかかったようなときには “LOCKモード”の存在が心強い。「このクルマなら行ける!」という安心感が、デリカD:5の大きな魅力であることを実感する。
もうひとつ、オフロードをガシガシ走って感心するのは、ボディの基本骨格がきわめて強固なことだ。ピラーごとにループ材を配した強固な構造が、デリカ D:5のモノコックの特徴だが、今回のチェンジではフロントまわりの構造をさらに強化。新採用のデュアルピニオン電動パワステとあいまって、ソリッドでスムーズな操舵感覚を実現している。
スペック的には最低地上高やアプローチアングルは従来型よりわずかに悪化(アプローチアングルは24度→21度。最低地上高は210mm→185mm)からしているが、雪上コースで乗り比べた感じではその差はほぼゼロ。
オフロードを気にせずガンガン走破できるこの感覚、ランエボを思い出した! これはミニバンのランエボと言っても過言じゃない。
■アウトランダーPHEVのツインモーター4WDの走りは?
ランエボと口に出したところで、ふと思い出したのはS-AWC(スーパー・オールホイール・コントロール)。
三菱の4WD技術はジープのライセンス生産以来の長い伝統があるが、「車両運動統合制御システム」としてS-AWCの名称を冠することになったのは、2007年のランサーエボリューションXからだ。
4つのタイヤの能力を可能な限り最大化するため、加速(前後トルク配分)、減速(4輪ブレーキ制御)、旋回(左右輪トルクベクタリング)すべてのシーンで 最適化を目指すのがS-AWCのコンセプト。
エボXでは「速く走る」ポテンシャルが注目されたが、現在はあらゆる路面で安全でコントローラブルな走りを実現するためにその能力が活かされている。

アウトランダーPHEVのS-AWCは、ツインモーター4WDをベースにブレーキをコントロールするAYCを追加し、前後駆動力配分と左右駆動力配分を制御。さらに駆動トルクと回生トルクの制御を行うとともにABSとASCのコントロールについても専用チューニング。このシステムにより、あらゆる路面状況で、イメージした通りのラインをトレースできる優れたハンドリングと路面状況の変化に影響されない高度な走行安定性を実現

アウトランダーPHEVは通常使用時のNORMAL、走破性を高めるLOCKに加え、SNOWモードとSPORTモードを追加。NORMALモード は、燃費性能と4WD性能を両立した駆動力配分により、舗装路から積雪路までの幅広い走行シーンに対応。高速走行時も、常に4輪に駆動力を配分することで直進安定性を確保。SNOWモードは、滑りやすい路面に特化してチューニングされた駆動力配分とモーター出力特性により、安心感の高い走行性能を実現。タイヤの空転やカーブでの膨らみの予兆を素早く検出し、瞬時に4輪の駆動力を最適化することで安定した挙動を維持。LOCKモードは凹凸、うねり、轍などの影響を受けにくい駆動力配分とすることで、タイヤの空転を抑制。空転時には各輪の制動力を強めることで、荒れた路面でも高いトラクション性能を発揮。SPORTモードは、モーターの出力特性や応答性を高めた専用チューニングにより発進時や追い越し時の加速感を向上。駆動力配分は専用プログラムを採用し、後輪への駆動力配分をさらに高めることで乾燥舗装路でのスムーズで力強いコーナリングを実現
アウトランダーPHEVに乗ってみると、最新のS-AWCがここまで来ているのか!という新鮮な驚きを感じる。
ツインモーターだから前後の駆動力配分はまさに自由自在だし、ブレーキAYCを補完する瞬間的な駆動力増減にも電気モーターならではのレスポンスが活用できる。また、将来はリア2モーターの計3モーターとして、アクティブなトルクベクタリング進化する構想もある。
このあたりの話を開発リーダーの澤瀬薫さん(AYC生みの親として有名)から聞いてみると、AWD技術が三菱復活のカナメであることを納得。つまり、今回の雪上試乗会はその実力をアピールする晴れ舞台といえるわけだ。



コメント
コメントの使い方