かつて名声を誇った「技術の日産」は復活したのか?

■独自の1モーター+2クラッチ・ハイブリッド

スカイライン350GTに搭載されるのは1モーター+2クラッチという日産独自のハイブリッドシステム。FRのほかFFにも用意。それぞれ7速ATとCVTに組み合わされ、リチウムイオンバッテリーでモーターを駆動する

スカイライン(とプラットフォームを共有するフーガ)のFR用と、FF用にエクストレイルに与えられたハイブリッドシステムは1モーター+2クラッチという、他には例のない機構を持つ。最初に搭載されたのは2010年のフーガだ。

どちらもトランスミッションメーカーのジヤトコとの共同開発品で、FR用は7速AT、FF用はCVTと組み合わせる。どちらも従来型のトルクコンバーター部にモーター(とクラッチ)を組み込んでスペースを稼いでいる。

モーターを挟む形で設置された2個のクラッチを用いて、エンジンとトランスミッションを切り離すことができるため、負荷を減らして燃費が稼げるいっぽうで、ホンダのハイブリッドシステムのようにエンジンと駆動部の直結モードは設定されていない。

後述するより簡便な「e-POWER」に存在感で押され気味だが、FR用は2モーター機構を活かしたパワーは、スカイライン搭載のシステム全体の最高出力は268kW/364ps(社内測定値)、3.5L、V6エンジン単体:306ps/350Nm、モーター単体:290Nmとされ、ドイツ勢の燃費重視のマイルドハイブリッドを中心としたシステムとは一線を画す。

たしかに燃費の良さに走りの良さを加えてレクサスなどライバルに対抗するのはよいとしても、プラットフォームのリニューアルを含めて、FRモデルのリニューアルがまずは必要だろう。

■コストを抑えた「e-POWER」

世界初の量産型シリーズハイブリッドシステムであるe−POWER」。HR12DE型1.2L直列3気筒エンジンを動力源としてリチウムイオンバッテリーに電力を供給、モーターで駆動(充放電)する。58kW(79ps)/5400rpmの動力源のエンジンと組み合わされるモーターの最高出力/最大トルクは80kW(109ps)/3008〜10000rpmと254Nm/0〜3008rpm(セレナ用は最高出力100KW(136ps)、最大トルクは320Nmに増加)

いまや日産のメインの技術となったように思えるのが、2016年に発表された「e-POWER」の呼び名を与えられたノートとセレナに採用されているFF用ハイブリッドシステムだ。

2006年にリーフと同時期に開発がスタートした、「e-POWER」の特徴は世界初の量産型シリーズハイブリッドであることだ。

トヨタのTHS-IIやホンダのi-DCDやスポーツハイブリッドi-MMDがシリーズ・パラレル方式に対して、エンジンが直接的に駆動に関わらない、動力源としての役割を果たす。

ただし、エンジンはモーターに与える電力を変化させるので、エンジンの回転数は走行中も変化する。

既存の1.2L、直3エンジンとモーターを使い、上記の日本メーカーのハイブリッド機構に比べ、構成要素が少ないことでコストが抑えられた。

そうでなければ数を稼ぐ必要がある量販車種のノートとセレナに採用することは難しかったに違いない。世界初の量産シリーズハイブリッドは誇るべきだと思うが、日産がハイブリッドということを声高には主張していないのは、EVのイメージを強調したいといった、ビジネス上の戦略があるのだろう。

次ページは : ■ライバルの動向を見据えた「リーフe+」

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