■ライバルの動向を見据えた「リーフe+」
日産が2010年末に発表、2017年に2代目となった電気自動車であるリーフは、いまや日産の看板モデルといえるまでになった。去る1月に追加設定された「リーフe+」でさらなる性能アップを狙って改良が施されたので、改めて紹介しておこう。
新たに搭載するセル数を192個から288個に増加させた駆動用リチウムイオンバッテリーは、容量を標準仕様の40kWhから62kWhに約1.5倍に増加。航続距離は322/400km(WLTC/JC08)から458/570(同)kmに延びた。
モーターの最高出力/最大トルクを110kW/320Nmを160kW/340Nmに向上させることで、車重が160kg増加の1680gとなっても、性能向上が実現できれば許されるというわけだ。
個人的にはEVの電費性能の目標として、一充電航続距離はおよそ500km、低速/高速域を取り混ぜた総合的な走行モードで実質的に350kmあたりと捉えているが、どうやらドイツ勢が登場させる予定のライバルたちが航続距離を500kmを謳っていることを意識したことが窺われる。
バッテリーの性能の目安となる体積(質量)当たりの出力密度は、バッテリーの材料改良では安全面などのチェックに時間もコストがかかるいっぽうで、セルのパッケージングや配線の接合法といった設計に工夫を凝らせば向上させることができるから、性能向上は日進月歩だ。
リーフの開発コンセプトはいかに安くEVとしての量産化を実現するかという点に尽きるが、世界各国でいかに効率よく生産・販売していくかを模索するための努力を積み重ねてきたというのが、リーフの開発の歴史といえる。
■自律走行を手軽にもたらす「プロパイロット」
日産の「プロパイロット」は、単眼カメラと画像処理技術を用いた自動ブレーキなどを含めたADAS(先進運転支援機構)だ。
具体的には、30~100km/hの速度域で一般道では自動的に前方車両を追従、高速道路上では同一走行車線内で白線を認識して自律走行を実現する高度運転支援システムだ。
単眼カメラのみで機能を成立させるとともに、停止後3秒ではクルーズコントロール機能が自動的に復帰、機能停止後もシステムを復帰させるのもボタン操作ひとつで可能という簡便さがウリのひとつ。
トヨタのセイフティセンスが単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせとしているのに比べ、コストが抑えられていることは想像がつく。
技術的なポイントとなるのは、画像処理を司るオランダMobileye社(開発センターはイスラエルにある)製センサーと半導体メーカーの米NVIDIA社が手がけたGPU(Graphics Processing Unit)という、ふたつの分野での大手メーカーの製品が使用されていること。
今後の自律走行技術の進化を支えるシステムだけあって、日産が研究開発に力を入れていくことは間違いないが、コストを考えれば外部企業からのアウトソーシングが中心となるだろうから、技術的な独自性を打ち出すのは難しいだろう。
こうして日産の最新技術を見てきたが「技術の日産」が復活した、と言っていいと思う。
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