■値引額が減るなどユーザーのデメリットのほうが大きくなりそう
●ユーザーのメリット
・どこのディーラーにいってもトヨタ全車種が買える
・全車種扱いになったことで購入するディーラーを自由にユーザーが選べる
●ユーザーのデメリット
・販社が一つに統合されたことで情報がオンラインで共有化されるため、店同士の競合がなくなり、値引額が大幅減
・競合させるためには埼玉や神奈川、千葉など東京近郊の販社まで足を運ばなければいけない
ユーザーにとってはデメリットのほうが大きくなりそうだ。というのは、どこの店舗でも全トヨタ車を購入できるようになるのはいいが、トヨタ車同士で競合させて大幅値引きをゲットするような購入作戦を組めなくなるからだ。
「ひとつの店舗でお目当てのクルマの購入交渉を始めると、同じ会社になると、その情報がコンピュータでオンラインされ、直ちに他店舗に伝わる仕組みになる」(トヨペット店)と打ち明ける。
したがってトヨタ車同士の競合は東京都内では不可能になるので別法人のトヨタ系列店間での競合しかできなくなる。
これまでも東京と神奈川、千葉、埼玉などとの同じ車種同士の競合はあったので、こうした購入作戦は今後も続けられることになる。
ただ東京都内の店舗はテリトリーが重なるので、同じ会社となれば効率の悪い店舗は次第に整理、統合されてゆくことになるのは必至といえる。
販売サービスパワーと収益性はこれまでの力関係だとトヨペット店が最も強力で次いでトヨタ、カローラ、ネッツ店となっているので、店舗が小規模なカローラ店やネッツ店がしっぽ切りの対象になる確率が高い。
各店舗の看板やサインは取り除かれ、新しく「トヨタモビリティ東京・〇〇店」などに変更される。その作業は毎年少しずつ時間をかけて行われる方向にある。
■その後60車種を30車種程度まで減らす方針
これは東京にかぎった話ではないが、トヨタは2022年から2025年までに、2017年時点で60車種あるが、それを30車種程度まで半減させる計画を明らかにしている。
それまでに東京地区のように4系列店を全国規模で1本化する方針を他の地域の販社に伝えている。したがって現時点では当面、他の地域は4系列店を維持するが2025年までには全国レベルで統合、一本化する方針。
しかしながらメーカーであるトヨタの思惑通り、すんなりと進みそうもない。東京地区の系列店は大半がメーカー資本会社ばかりだから、一本化は問題なく可能だが、ほかの地域はそうはいかない。
ほとんどが地場の有力資本を持つ販社だから、メーカーの意向通り動くとは限らない。
しかも有力資本が激しくシェア争いをしており、あまり仲が良くない地域が多い。一本化するとなるとどこの資本が主導権を握り、経営のかじ取りをするのかといった課題もある。
メーカーが強引に思惑通りに進めようとすれば、輸入車やライバルのクルマを扱う販社に切り替えることも考えられる。やはり全国6000店舗、280販社を変えるのは並大抵のことではない。
またこれまであったヴォクシー/ノア/エスクァイア、アルファード/ヴェルファイア、ルーミー/タンクなどの姉妹車はどちらかに一本化されることになる。
どのモデルに絞るかは、まず東京地区の統合で全車種の取り扱いになるので、その販売推移の結果を見ながら判断することになりそうである。
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