MIRAI国沢号が新城ラリーに挑戦! FCVの未来を田中義和チーフエンジニアと語る

MIRAIのチーフエンジニア田中義和氏とFCVの未来を考える

 MIRAIのチーフエンジニア田中義和氏は、時間があれば国沢MIRAIの応援に駆けつけてくれる。

 ここにきて再生可能エネルギーから水素を作りエネルギーとして活用する取り組みが加速している。FCVの未来はどうなるのか? 語り合った(司会はベストカー編集部の本郷)

FCVの未来を語るMIRAIのチーフエンジニア田中義和氏(右)と発売以来MIRAIで競技に出場し続けてきた国沢光宏氏(左)
FCVの未来を語るMIRAIのチーフエンジニア田中義和氏(右)と発売以来MIRAIで競技に出場し続けてきた国沢光宏氏(左)

ベストカー MIRAIが発売して丸4年が経過しましたが、チーフエンジニアとして振り返っていただけますか?

田中義和氏(以下敬称略) 水素に起因する事故は1件も報告されていないことにホッとしています。とにかく初めてのクルマなので販売することで、テストではわからない、さまざまなデータを蓄積することで、今後の開発に生かせることが大きいですね。その一方で、発売当初タイムリーにお客様に商品をお届けできなかったことで、大きなうねりを生むことができなかったことを反省しています。

ベストカー 国沢さんは人類の中で一番激しくMIRAIに乗ってこられましたが、4年間の印象はどうでしょう?

国沢光宏氏(以下敬称略) EVレースやラリーなど競技に出場してわかったことは全開走行を繰り返すと熱の問題が出てパワーダウンしてしまうこと。エンジンモデルは排気ガスとして熱を逃がせるけど、MIRAIはそれができないから、競技車としてはハンデがある。逆にそれでも全開にした時の速さといったら強烈なのでポテンシャルの高さには毎回驚いている。

福島で水素を「地産地消」する動き

ベストカー 先日JHyM(ジェイハイム=2021年度までに80カ所の水素ステーションの整備を掲げる)によるいわき市に水素ステーションが整備されたというニュースがありましたが、田中さんも開所式に参加されたとか。

田中 ええ。地元の根本通商さんが運営される水素ステーションで、JHyMのスキームでは初の民間水素ステーションになります。またいわき市の商工会議所会員企業が中心となってMIRAIを31台も導入いただいたんです。また、いわき市の北になりますが浪江町では福島水素エネルギー研究フィールドが建設中で、完成すれば世界最大級の水素製造工場になります。

ベストカー どちらも2011年の東日本大震災で大きな被害に遭った地域ですよね。

田中 そうなんです。不幸にも原子力発電所で水素爆発が起きてしまい、今も復興途上にある地域ですが、水素を作り、水素を消費することでCO2フリー社会を生みだそうという試みの一環なのです。

いわき鹿島水素ステーションは水素ステーションの本格整備を目指すJHyM(ジェイハイム)のスキームで建設された初の民間水素ステーションだ(提供:根本通商株式会社)
いわき鹿島水素ステーションは水素ステーションの本格整備を目指すJHyM(ジェイハイム)のスキームで建設された初の民間水素ステーションだ(提供:根本通商株式会社)

国沢 再生可能エネルギーの重要性が指摘されるけれど、例えば太陽光にしても風力にしても、電気はすぐ使わないと余剰電力といって棄ててしまわないといけないけれど、水素にすることで貯蔵できる。再生可能エネルギーと水素は切っても切れない関係といってもいい。

ベストカー トヨタがJAXAと組んで燃料電池技術を使った「有人与圧ローバー」の開発を発表しましたが、FCVに大きな可能性が生まれた気がします。

国沢 そう、月に眠る水を活用すれば、水素が作れるわけだし、太陽光パネルで作った電気を水素に変換して貯蔵することで長期滞在が可能になると思う。

トヨタとJAXAが連携して開発中の燃料電池を動力源とする「有人与圧ローバー」。月に水があれば水素を作ることも視野に入れる
トヨタとJAXAが連携して開発中の燃料電池を動力源とする「有人与圧ローバー」。月に水があれば水素を作ることも視野に入れる

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