■時代の一歩半先をいくのがエスティマ
振り返ってみれば、初代エスティマが初登場したのは平成元年の東京モーターショーでのことだった。まずはコンセプトモデルが発表され、翌平成2年、1990年5月に発売開始となった。
「天才タマゴ」とキャッチフレーズされた初代エスティマは、まだ現在のようにミニバンがカテゴリーとして確立される以前の時代に、ワンモーションフォルムのボディに3列シートの7〜8人乗りとした。当時の多人数乗車といえばキャブオーバー1BOXのタウンエース/ライトエースやキャラバンの時代。まさに近未来的なクルマだった。
初代エスティマはパワートレーンも凝っていて、もともとはコンパクトなS2エンジン(2サイクルスーパーチャージャーエンジン)を搭載することを念頭に開発されたフラットフロアの前輪駆動なのだが、結局S2エンジンが開発断念となってしまったため、お蔵入りになるところを、通常の2.4L、直4エンジンを75度横倒しにして搭載することでアンダーフロアミドシップ前輪駆動という特異なパッケージングを実現した。まさに「天才」的な発想だったのだ。
この初代エスティマは10年弱販売され(その過程でルシーダ/エミーナなどの派生車も誕生し)、2000年1月には2代目がデビューする。
この2代目はその時代では一般的なフロントエンジン搭載で前輪を駆動するミニバンとなったが、すでにこの時期に存在していたノア/ヴォクシーやステップワゴン、オデッセイなどと比べてスタイリッシュなエクステリアに上級車感を感じさせるインテリアなどで、やはりちょっと先進的なスタイリッシュミニバンとしてのポジションを確立していった。
前置きが長くなったが、話を元に戻して、「では、次期型エスティマはあるのか!? ないのか!?!?」だが、結論からいえば、開発は再開され、2021年に新型エスティマがデビューする!
やはり市場からのニーズが多いことが最大の理由で、それは日本国内だけではなく、北米(プレビアの名称で販売されている)からの要望も大きいのだという。
欧州では現状では日本国内ほどの大きな期待論はないものの、今後電動化時代に向けて欧州メーカーが相次いで新プラットフォームを開発することで、フラットフロアの多人数乗車モビリティが登場することになる。それを見据えて新型エスティマが投入されることも狙いのひとつとなる。
■FCVはピュアEVへの布石か!?
次期型エスティマのエクステリアはここで紹介したものが"ほぼ最終案"として提案されているというのが、本誌スクープ班が掴んだ最新情報。低いルーフのワンモーションフォルムからもわかるように、低床フラットフロアの新プラットフォームが開発される。もちろんTNGAコンセプトに基づいたものとなる。
このフォルムから連想されるのが前回の東京モーターショーに出展されたコンセプトカー「FINE-Comfort Ride」。
燃料電池(FC)をパワートレーンとした低床フラットフロアの4+2人乗りの、近未来のモビリティをイメージしたコンセプトカーだったが、当時から「次期型エスティマか!?」と言われていたとおり、このパッケージングコンセプトを活かしたのが現在開発中の次期型エスティマということになる。
トヨタはFCVについては本気で取り組んでおり、既報のとおり2021年のデビューを目指して次期型MIRAIの開発が進行しているとともに、レクサスLSにもFCモデルが追加される計画。
次期型エスティマがFC専用車となることはないだろうが、FCVを軸に2.5Lハイブリッドモデルもラインナップし、さらにはピュアEVをも念頭に置いている、とスクープ班はみている。
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