青山王子パーフェクト評価!マクラーレン650Sスパイダー

青山王子パーフェクト評価!マクラーレン650Sスパイダー

 速さと快適性を両立させた人馬一体感の走りに驚愕


 F1界の名門、英国マクラーレン・オートモーティブが第5のロードゴーイングカーとしてこの世に解き放ったのが650Sだ。

 第1弾は’93〜’98年の間にわずか64台が生産されたマクラーレンF1。第2弾はF1のパートナーであったメルセデスAMGと共同開発したメルセデスベンツSLRマクラーレン。第3弾は’12年に15年におよぶブランクを経て生産が開始されたMP4-12C/12Cスパイダーで、第4弾は375台、1億円の限定生産で早くも完売したハイブリッドスーパースポーツのP1である。

 第5弾となる650SはMP4-12CとP1の間を埋める存在として今年3月に発表、日本では今年4月から販売されている。その650Sのオープンモデルが今回取材する650Sスパイダーである。ちなみにMP4-12Cは生産終了が決定しており、650Sが実質的な後継車となる。

 650Sのシャシーは、マクラーレンがカーボンモノセルと呼ぶ単体重量75㎏というワンピース構造のカーボンファイバー製シャシーとアルミニウムで構成され、外板はアルミやFRPを使い、車重は1370㎏と軽い。

 ミドには、12Cの600㎰、12Cスパイダーの625㎰に対して650㎰まで引き上げられたM838T型3・8ℓV8ツインターボを搭載。650Sの車名は650㎰から来ており、Sはスポーツを意味する。

 この650Sは12Cで培われた顧客からの要望をフィードバックしつつ、P1に搭載されているマクラーレンの最新技術を投入した12Cのブラッシュアップ版といえばわかりやすいだろうか。さて王子は、この650Sをどう評価する?

■P1譲りのスタイルで存在感が増したが走りは?

 — 王子は昨年MP4-12Cを試乗していますし、マクラーレンF1にも乗っていますよね。 「マクラーレンF1はパワフルで動きは軽く、それでいてすごく運転しやすかったですね。MP4-12Cもその流れを汲んでいて、軽くて乗りやすく、それでいて速い、マクラーレンF1と同じものを感じたのを覚えています」

 —スタイルはどうですか?

 「マクラーレンのスピードマークのロゴをモチーフにしたLEDヘッドライトなどP1に似たスタイルは派手になって、いいと思います。12Cはシンプルすぎるかなって思いもあったので……。リア回りも3ピースのバンパーで迫力が増しています」

 —さっそく走りに行きましょうか。ディヘドラルドアを開け、フルカーボンの幅広サイドシルをまたいで運転席に座る王子。スターターボタンを少し長めに押すと、キュルルとクランキングした後、グォーンというエンジン音が辺りに響きわたる。

マクラーレンP1に似たフロントマスクやLEDのヘッドライトなど25%が新たなパーツとなる
マクラーレンP1に似たフロントマスクやLEDのヘッドライトなど25%が新たなパーツとなる  

 しばらくして戻って来た王子の顔には満面の笑みが浮かんでいた。

広すぎず狭すぎず、適度にタイとでクルマとの一体感を感じさせてくれるシート。ちょうどいい心地よさの空間だった
広すぎず狭すぎず、適度にタイトでクルマとの一体感を感じさせてくれるシート。ちょうどいい心地よさの空間だった  

 「いいですねえ!フロントが22%、リアが37%硬いスプリングを採用したプロアクティブシャシーコントロールシステムですが、ノーマル/スポーツ/トラックモードのうち、最初ノーマルで走り出しましたが、振動やハーシュネスなどほとんど感じませんし、乗り心地が最高にいいです!

 7速SSG(シームレス・シフト・デュアルクラッチ・ギアボックス)も低速域でギクシャクすることもありませんし、Dモードでのシフトアップのつながりもウルトラスムーズ。低速域では12Cよりもかなり改善されていますね。とにかく軽く、ターボなのに無理やりパワーを出している感じがしませんし、スムーズなのに恐ろしく速いんですよ。

 ノーマルモードからアクティブボタンを押して、左右のコントロールダイヤルでスポーツモードを選び、アクセルを全開(注:エンジン回転数2500rpm以上、アクセル開度70%以上)にしていくとシリンダーカットという機能が働きます。2気筒の点火を瞬間的にカットし、再点火する時に「パンッ!」という音が響くんです。

 さらにレースコースで使うトラックモードにしてアクセルを全開(注:エンジン回転数5000rpm以上、アクセル開度60%以上)にすると、「イナーシャプッシュ」が作動します。

 これはシフトアップ時のクラッチの圧着力を通常より強めに設定してあるため、シフトアップ直後に後ろからグンと押される感覚です。変速後のギヤとつながるクラッチにかかるトルクがエンジントルクを上回った状態になるので変速中でも加速力が落ちないという、レーシングドライバーさながらのテクニックを行ってくれるんです。

 トラックモードにしても内臓がまさぐられるほど足回りは硬くならず快適性は失われません。

 コーナーでも内側後輪にブレーキをかけてノーズの向きを変えてくれるブレーキステア、さらにハードブレーキング時にリアウイングが90度近く立ち上がってダウンフォースを発生させるエアブレーキと、まるで磁石のように路面に吸いつく感覚!

 アクセルにリニアに反応するスロットルレスポンス、フル加速時のスムーズさ、レーンチェンジ時に感じる強靱なボディと足回りのよさと人馬一体感、セダン並みの乗り心地のよさ。文句のつけどころがありません」

オーディオやナビなどを操作する縦型のタッチパネル画面や走行モード切り替えスイッチ、スイッチ式のシフトセレクターボタンが並ぶ細身のセンターコンソールが特徴。取材車はオプションのカーボンパーツが奢られている
オーディオやナビなどを操作する縦型のタッチパネル画面や走行モード切り替えスイッチ、スイッチ式のシフトセレクターボタンが並ぶ細身のセンターコンソールが特徴。取材車はオプションのカーボンパーツが奢られている  

次ページは : ■かなりの高得点が期待できそうだが…

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!