■CR-Vの評価が11位とずいぶん低いようですが……?
(TEXT/国沢光宏)
クルマというのは芸術品じゃない。いや、フェラーリやポルシェに代表される極めて趣味性の高いクルマについちゃ芸術品に近いため、どんな価格をつけたっていいと考えます。
高ければ売れないだけ。何十年も“芸術品”を作ってきてるのだから、顧客との阿吽の呼吸で成り立っているワケです。実際、フェラーリの生産台数と仕上げの美しさを考えたら高くない?
一方、CR-Vが属すマーケットは価格も性能やデザインと同じくらい大切な構成要素だと考えます。同じクラスの競合車より高い値付けをするなら、それなりの内容を伴っていないとダメ。
CR-Vの価格設定、ワンランク上のハリアーと同等である。本来アメリカなどではCX-5やエクストレイルのライバル車であり、納得できないほど高い。
それだけでも“アウツ”なのに、アメリカで販売している同型車より高い値付けをしていたりする。こらもう売れない作品に高い価格を付ける芸術家と同じ。まったく空気を読んでいない。そもそもユーザーにとって不誠実だと考えます。
というクルマに、ホンダの顔色を伺い高い点数をつけられるほど人間丸くないです。ちなみに50万円安い価格ならイッキに評価上がるだろう。
■エクストレイルが2位で、ほかの人と比べてずいぶんと高評価ですが、決め手は?
(TEXT/渡辺陽一郎)
エクストレイルを2位にした理由は、SUVを購入するユーザーの好みを汲み取って商品化しているから。SUVの売れ筋は、使い勝手がよくて価格の割安な前輪駆動ベースのシティ派モデルだが、ユーザーの好みは、ランドクルーザーのようなオフロードSUVに向いている。
この現実と理想を、エクストレイルは巧みに結び付けた。前輪駆動ベースのSUVだが、外観は野性的で、最低地上高も205mmだから、ロックモードを備えた4WDと相まって悪路走破力が相応に高い。シートや荷室には防水処理が施され、屋外での使い勝手も優れている。
こういったメカニズムと内装は、SUVの気分を盛り上げ、大げさにいえばユーザーの冒険心を呼び覚ます。悪路を走る機会が乏しくても、それだけの実力を備えることが、ユーザーのプライドを高める、と思う。SUVには、ほかのカテゴリーとは違う仕立てが必要で、エクストレイルにはそれが備わっている。
加えて車内も広く、後席の頭上と足元の空間はLサイズSUV並みだ。荷室に3列目シートを備えることも可能で、この価格は7万円少々に抑えた。機能や装備に対して価格が割安なことも特徴だ。
【番外コラム】 ラージSUVの3列目シート 実際のところ使えるの?
(TEXT/渡辺陽一郎)
SUVの3列目シートは、荷室に装着された補助席と思えばいい。ミニバンは床を平らに仕上げるなど、基本設計の段階から3列目の居住性に配慮するが、SUVでは優先順位が低い。
床は平らにならず3列目の部分は燃料タンクのために持ち上がる。よって1~2列目に比べて、床と座面の間隔が大幅に不足する。大人が座ると膝が大きく持ち上がって窮屈だ。
3列目が最も快適な国産SUVはCX-8。それでも大人が多人数で乗車するには、2列目を前寄りにスライドさせて3列目の足元空間を確保しないといけない。
……総じて、SUVの3列目で大人が移動できるのは45分程度まで。ただし1年に数回、短距離を多人数で移動する使い方なら、3列シートSUVは合理的だろう。
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日本でも充実してきた大型SUVたち。冒頭でもお伝えしたがここにRAV4が入ってくるとランキングは果たしてどうなるのか? また続報をお届けできればと思う。
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