「ミライ」FCV発売前夜 安倍首相も水素ステーションを視察!

 トヨタがもうすぐFCVを市販する。

 700万円ほどとされる価格だが安倍総理が少なくとも200万円の補助をしたいと発言したことで、愛車にできるかも!? と思った人も多いはず。

 期待と不安が渦巻くFCVを取り巻く環境を、’97年12月に発売になった初代プリウスの時と比較しながらレポートしよう


 7月18日安倍首相が北九州水素ステーションを視察に訪れ、トヨタのFCVに試乗した姿をニュースでご覧になった方も多いだろう。その際に「(政府として)少なくとも200万円は補助していきたい」と語り、FCV普及に向け「新成長戦略」にも盛り込んだ。

TOYOTA FCV トヨタが世界に先駆け日本で14年度内に約700万で発売すると発表している。1回約3分の水素の充填で約700km走れ、最高出力は100kW以上で最高速度は170km/h以上出る。
TOYOTA 「ミライ」

 この200万円はどのような算出方法から生まれるのか気になるが、ベストカーが取材したところでは、トヨタのFCVもリーフやアウトランダーPHEVと同様「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」から補助金が出ることが濃厚だ。

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ステアリングの印象は「静かで加速もよかった」  

 補助金の額についてはベースとなるモデルとの差額の約半分を補助するともいわれ、仮にFCVのベースモデルが車格の近いマークXだとすれば、マークXは250万9715円だから、FCV700万円との差額は約450万円、半額なら、約225万円の補助金が受けられることになる。

 ただし、現在はEVやPHVの場合で最大85万円となっているので、いずれにしても、新たな補助金の算定式ができるはずだ。

 経済産業省は来年度の概算要求で、燃料電池車の普及や水素ステーションの整備、家庭用燃料電池の導入など水素社会の実現に向けた事業のため401億円を求める予定だ。これは今年度予算165億円に比べて実に2・5倍近い伸びだ。今年度のクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金300億円、次世代自動車充電インフラ整備促進事業補助金1005億円と比べてもかなりの額だ。

 さらにトヨタのお膝元である愛知県はFCVを県の低公害車促進補助金の対象とし、ベースモデルとの差額の4分の1を補助することを決めた。しかも最大で5年間の自動車税を免除する手厚い優遇だ。’20年の東京オリンピックを控えた東京都の舛添知事も独自の補助金を出すことに前向きだ。

 先ほどの計算を当てはめると愛知県でFCVを買うなら、さらに110万円あまりの補助金が出る計算で、国のぶんと合わせて330万円あまりが補助金になり、実に370万円ほどでFCVが手に入る。

■プリウス発売時に補助金はあったか?

 ’97年当時、現在のFCVに負けず劣らず次世代車として期待された初代プリウスは215万円からという信じられないほど安い価格で登場した。しかし、補助金はなかった。

 一時、カローラ(約150万円)との価格差の約半分にあたる35万円の補助金が受けられるという情報が流れたが、予算額は80億円と少なく、しかもEVや天然ガス車、メタノール車と幅広いクルマが対象で、結局ハイブリッドを買う一般ユーザーへの補助金は見送られたという経緯がある。

 さらに自動車雑誌など一部のマスコミ以外のプリウスへの関心は低く、ジャーナリストのなかには「売れっこないよ」といっていた人も多かった。FCVのようなインフラへの不安はなかったが、そのぶん、モーターやバッテリーの耐久性に不安が囁かれたのだ。

 実際、初代プリウス発売の翌年’98年1年間の販売台数は1万7653台、’99年は1万5243台、’00年は1万2511台と月間1000台ペースとたいして売れていない。発売した時の一般的な知名度からいえば、天然ガス車と同じくらいだったかもしれない。

 10型と呼ばれるベストカー編集部も所有する初期型のバッテリーは永久保証で無償交換となっている。ちなみに新品バッテリーは32万8000円で工賃1万7000円、合わせて34万5000円ほどかかるところが、タダで、編集部のプリウスは2度も交換してもらっている。そうやってさまざまなケアをしながら、トヨタはハイブリッドの信頼性を築き上げてきたのだ。

■水素はいったいいくら?

 政府は東京、大阪、名古屋、福岡の4大都市圏を中心に’15年度中に100カ所程度の水素ステーションを建設、整備するとしているが、現在20カ所程度しかなく、40カ所あまりが現在建設中とはいえ、首都圏と愛知県に集中しており、地方の人たちには恩恵が少ない。

排ガスを出さないFCVが排出する水はこのようにフロア下からしたたるように落ちる
排ガスを出さないFCVが排出する水はこのようにフロア下からしたたるように落ちる  

 一般的に水素ステーションの建設には約5億円かかるとされ、ガソリンスタンドの約5倍だ。政府は水素ステーションの整備のため1カ所あたり最大2億8000万円を補助しているが、岩谷産業やJX日鉱日石エネルギーなど水素ステーションを手がける企業は水素ステーションの整備を進めるが、採算の見通しが立っていないというのが本音だ。

 ちなみに水素の値段は1立方メートルあたり約150円で、だいたい1立方メートルで10㎞走るという。つまり1000㎞走るのに1万5000円かかる。これは2ℓクラスのガソリン車とかわらない燃費性能だ。政府は水素の値段を’20年頃をメドに1立方メートル80円くらい(つまりハイブリッドと同じくらい)にしたい考えだ。

 さらにʼ25年には車格の同じハイブリットモデルと同程度まで車両価格を下げることを目標としている。そうなれば、エコカーとしての競争力も生まれてくる。

 自民党に「FCVを中心とした水素社会実現を目指す研究会」(小池百合子会長)があるが、初期のFCVの需要喚起策として’15〜’17年に購入した個人と企業は「水素を無料で充填できるよう検討する」としたほか、’25年度までには価格をハイブリッド車(プリウス)と同等の200万円台まで引き下げると、具体的な数字目標を出している。

 さらに’15年〜’20年のFCVの高速道路無料化も謳っており、どこまで政策に生かされるかわからないが、注目に値する。

■そんなにうまく燃料電池車の価格が下がるものか?

 燃料電池の価格が量産効果でどれくらい下がるかの参考として家庭用燃料電池であるエネファームを見てみよう。右の図でわかるように世界に先駆け、’09年の発売当初は300万〜350万円だったが、4年後の’13年には200万円を切り、ほぼ半額の水準まで落ちている。

 現在エネファームは1台あたり200万円ほどするが、政府から38万〜43万円の補助金のほかに自治体からも数万円〜15万円ほどの補助金が出されている。このまま普及が進めば、’16年には1台あたり70万〜80万円まで下がり、さらに’20年頃には補助金なしでも普及する自立化を実現化することが政府の目標となっている。

 これをそのままFCVに当てはめるわけにはいかないが、’25年頃、つまり10年後には200万台が普及し、量産効果でハイブリッドと同じような価格帯になり、補助金がなくても普及が進む自立状態になるという見通しに根拠がないわけではないことがわかる。

■普及はFCVの走りの魅力しだいだ

リアスタイルも個性的!
リアスタイルも個性的!  

 東日本大震災の影響もあり、’97年のプリウス発売時よりもずっと環境保全やエコへの関心は高い。政府も支援を惜しまず、補助金もしっかり出そうだ。しかし、FCVが自動車として魅力あるものなのか? 運転して楽しいか? が実は重要でプリウスも動力性能の進化とともに普及が進んだ一面がある。

 ベストカーはFCVに「ファントゥドライブなクルマ」であることを期待したい。

 最後にトヨタFCVの見逃せない特長として外部電源供給能力が挙げられる。仮に一般家庭の1日の使用電力を約10‌kWhとすれば、約1週間分以上の使用電力を供給できる。災害時の非常用電源としても頼れる存在だ。

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