■国やNEXCOは次にどう動くのか
東京外環道の大深度地下トンネル工事は、2020年10月、調布市東つつじが丘2丁目のトンネル直上部で地上が陥没する事故が発生し、その後の調査で他にも地中に空洞があることが判明。原因はシールドトンネル掘削による「土砂の取り込みすぎ」であるとの結論が出された。
住民らによる工事差し止めの仮処分申し立てに対して、2022年2月、東京地裁は、2本のシールドマシンで掘進中だった南側9kmの区間について、「家屋の倒壊や生命・身体への具体的な危険が生じる恐れがある」として工事中止を命令。
以来、南側区間の本線トンネル工事は止まったままだが、2023年3月、東京高裁も地裁の決定を認め、そして今回、最高裁もそれを支持したという流れである。
しかもこの決定に対して、国やNEXCO東日本は、異議の申し立てを行っていない。つまりいまのところ、決定が覆る可能性はゼロなのだ。
国やNEXCOは、いったいどうするつもりなのかというと、「事業者は、引き続き、住民の方々のご意見を個別にお伺いしながら、家屋損傷をはじめとする実際に発生した損害に対する補修・補償、陥没・空洞箇所等の地盤補修範囲における補償等について、誠意をもって対応し、住民の方々の不安の払拭に努めていく」、「まずは陥没・空洞箇所周辺での地盤補修、補償等の対応に優先的に取り組む」とのこと。
本線トンネル工事の再開は、それが実現してからという姿勢だ。
大深度地下法で認められた権利とはいえ、他人の土地の地下にトンネルを掘っていて、それで地上付近に穴が開いてしまったのだから、「もうこんな事故は決して起こしませんから、そろそろ工事を再開します」というわけにはいかない。まずは地盤を元通りにすることに全力を注ぐ方針なのである。
コメント
コメントの使い方