■地盤を元に戻すために必要なこと
では、どうやって元通りにするのか。
トンネル工事によって地盤が緩んだと認定されたのは、トンネル直上220mの区間だが、そこにある住宅すべてを仮移転、あるいは買い取りを行い、更地にして地上から地盤改良工事を行う。
つまり、すべての家屋が移転に応じて取り壊しができなければ、原状回復はできず、工事も再開されないと考えるべきだろう。
現地では、すでに家屋の取り壊しが始まっている。取り壊しの対象家屋は約30軒だが、そのうち10軒ほどが取り壊しの最中だ。陥没事故から3年弱という期間を考えると速い印象だが、1軒でも移転に応じない家屋があれば工事は完成しないので、楽観できる状況ではない。
この件に関して、移転はあくまで「お願い」であって、強制力はない。高速道路の建設予定地では、公共性の高さに鑑みて、立ち退きに応じない土地所有者に対し「収用」、つまり強制的に買い上げることができる制度があるが、今回はまったくその対象外だ。
強制力のない「お願い」で、土地の買収を完了させるには、長い年月がかかる。私は都立公園予定地の隣接地に住んでいるが、30年かかってようやく数分の1の家屋が移転し、更地になってアスファルト舗装され、フェンスで囲われた。話を聞いた限り、相続のタイミングが多かったようだ。
公園予定地の場合、「移転のお願い」もないので違いはあるが、とにかく約30軒すべての移転が完了するのに何年かかるか、予想することは不可能だ。つまり、東京外環道の完成は霧の中にある。
同じ外環道の千葉区間は、5年前に開通し、渋滞緩和や利便性の向上など、大きな効果を上げている。それを聞くと、東京外環道の沿道住民として羨ましくなるが、関越道から東名にかけての区間も、首都高C2と圏央道が立て続けに開通し、非常に便利になった。
どちらも既に渋滞は発生しており、特に圏央道は大型トラックで満杯状態だが、以前は首都高C1しかなかったことを考えると、3環状のうち2環状が完成しただけで、夢のようにありがたい。
杉並区在住の私としては、東京外環道が完成すれば、関越道や東名へのアクセスがさらに大幅に向上する。首都高C2や圏央道の混雑も緩和されるだろう。
しかし、環状8号線の混雑も以前に比べると緩和されているので、「一刻も早く!」というほど切実ではない。ドライバーとしては、東京外環道の完成にはあまり期待せず、静かに待つしかない。
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