ホットハッチは、そもそも「ハッチバック」というクルマのカテゴリーの中の一車種だ。
大きい荷物や長物の積み下ろしをすこしでも楽にと、後部ハッチに跳ね上げ式、横開き式の「バックドア」を設けた車種のことを「ハッチバック」。
そのハッチバックに、強力なエンジンを載せスポーツカー並みの走行性能を与えたものが「ホットハッチ」だ。北米では「スポーツコンパクト」と呼ばれていたりもする。
つまりどういうことかというと、「積んでヨシ、走ってタノシ、燃費・税金もウッシッシ!」なわけで、もっともっと評価されてもいいはずなのだが、SUV・ミニバン全盛の世にあっては、イマイチ影が薄い気がしてしまう。
さて、そんななかで今回は、多くのクルマをチェックしてきた自動車評論家6名に、これまでの人生で強烈なインパクトを受けて脳裏に焼き付いた「思い出のホットハッチ」を紹介してもらった。
テーマ別の売れ筋ホットハッチモデル対決も掲載。
やはりというか、対決企画においては意外、というべきなのか、ホンダ車、そしてシビック強し、なのである。
※本稿は2019年3月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年4月26日号
■トヨタ スターレット(KP61/1978.10)
(TEXT/石川真禧照)
小さなボディに強力なエンジンを押し込む。例えばカローラレビン(TE27)が好きだった。でもこのKP61スターレットは、軽さの重要性を教えてくれた。
パブリカから誕生したFRのコンパクトカーは、その車重が700kg前後だった。エンジンは72psと非力だったが5速MTを駆使すれば楽しめた。
4リンク式のリアサスと、トヨタ初のラック&ピニオン式ハンドル、FRの駆動方式。運転の楽しさを教えてくれた1台だ。
■マーチ スーパーターボ(EK10/1989.1)
(TEXT/鈴木直也)
小排気量ターボのレスポンス問題を、スーパーチャージャーとの2段過給で解決したのがマーチ スーパーターボ。同様の方式は、ランチア デルタS4が有名だが、マーチのほうが2年早くデビュー。
開発の目的はデルタS4と同じくラリー用。ターボ係数1.7をかけて、1.6Lクラスにホモロゲされるよう、ボアを2mm縮めて排気量930ccとしている本格派だ。スパルタンな走りが印象的なホットハッチでした。
■ホンダ シビックSiR(4代目/1991.9)
(TEXT/国沢光宏)
私のなかで最も印象に残っているのは、最初のVTEC採用エンジンを搭載したシビックSiRであります。
なんたって国産車初となるリッター100ps超のNAエンジンときたら、もうシビれまくりましたね! 当時グループAでスカイラインRSに乗っていたのだけれど、立ち上がりで軽くシビックに抜かれましたから。
やがてシビックのグループAに試乗する機会あったが「こら勝負になんね!」と実感した次第。
■ホンダ シビックタイプR(初代/1997.8)
(TEXT/片岡英明)
2007年に登場したFD2型が好きなのだが、セダンなので除外。若者が買いやすいリーズナブルな価格設定で、走りもよかったのはシビック最初のタイプRだ。
性能的には21世紀に誕生したタイプRのほうが上だし、限界性能も高い。
だが、型式が変わるほど手を加えた1.6LのDOHC・VTECエンジンは高回転まで気持ちよく回り、操っている感じが際立っている。
4輪ダブルウィッシュボーンの足も動きが滑らかだ。
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