1980年代から1990年代の終わりにかけて、日本ではホットハッチと呼ばれるクルマが人気を集めていた。スターレット、パルサー、シビック、ミラージュなどなど、その歴史には名車の数々がずらりと並ぶ。
だがそのブームもやがてミニバンに取って代わられ、近年のクルマ界の一大トレンドはSUVとなっている。
しかしここで今一度、ホットハッチに注目してほしい。
走りのよさや楽しさ、そして独立したトランクを持たない2BOXボディからくる優れた使い勝手などは、日常のなかでも充分感じ取れる。
クルマが持つ性能をどれだけの時間、どれだけ使い切れるかで見た場合、ホットハッチがミニバンやSUVに劣る点などひとつもないのだ。
もうおわかりだろう。ホットハッチが再注目されるのは、もはや時間の問題。コレを読めば、アナタもホットハッチがほしくな~る、ほしくな~る。
●清水草一(コラムを下段に掲載)が掲げる「ホットハッチ、SUVよりいいトコロ」5箇条
・コンパクトだから取り回しがラク! 小さいSUVよりやっぱりイイ!
・立体駐車場にも入る。全高高くないからネ!
・車重が軽いから動きも軽快。重量税も安いヨ!
・重心が低い。曲がる楽しさに大きく関わるよ!
・燃費がいい。小さくて軽いから、そりゃね!!
※本稿は2019年3月のものです
文:石川真禧照、鈴木直也、国沢光宏、片岡英明、松田秀士、小沢コージ、清水草一/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年4月26日号
■日本車&輸入車 ハッチバックこの1台
ベストカーおなじみの自動車評論家6人が「この1台がイーネ!」という国産&欧州のホットハッチを選出! SUVにはない「走りの楽しさ」を感じたいあなた、必見です!
■スズキ スイフトスポーツ & VW ポロGTI
(TEXT/石川真禧照)
●スズキ スイフトスポーツ(価格:183万6000円から)
●VW ポロGTI(価格:348万円から)
両方車に共通しているのは、クルマ開発の理念だ。そこにボクは着目した。
スイフトスポーツは、2004年に登場した2代目で開発思想から変えたことからはじまる。
それまでのコスト重視から、お金をかける開発に大方向転換。結果、ハンドリングをはじめ、すべてがいい方向に向かった。欧州での走り込みが、クルマを変えたのだ。現行型も欧州ホットハッチと戦える性能に仕上がっている。
ポロだが、「GTI」というネーミングはVWがゴルフで最初に用いた。ゴルフGTIはFFハッチバックをベースにチューニングしたエンジンなどを搭載し、走りを楽しむモデルとして、現在でも存在している。
しかし、モデルチェンジのたびにボディは大きくなり、初代の頃のコンパクト感はなくなっていた。そこにポロをベースにGTIが登場。ゴルフの原点回帰として、ボクは位置付けたのだ。
■日産 ノート e-POWER NISMO S & アバルト 595
(TEXT/鈴木直也)
●日産 ノート e-POWER NISMO S(価格:267万1920円)
●アバルト 595(価格:299万円から)
ホットハッチの楽しさは、「山椒は小粒でもピリリと辛い」ところ。小柄なボディでカッ飛ぶ小気味よい走りが身上だ。
アバルト595は、それをオーソドックスな手法で実現した正統派。やんちゃな1.4Lターボのパワーを5速MTで走らせるのは、ちょっと古典的と感じるけれども、やっぱり楽しさに溢れている。
一方、ノートe-POWER NISMO Sは、電動パワートレーンでも、同じく“熱い走りが実現可能だ”ということを証明した革命児。32.6kgmという最大トルクは、内燃機関なら3L V6級に相当する。そのトルクが、アクセルを踏めば瞬時にレスポンスする。
バッテリーEVと違って、車重は1.2トンほどと身軽だから、ワインディングをスイスイ駆け抜ける軽快感は格別。まさに、新時代のホットハッチと言えるんじゃないかな?
コメント
コメントの使い方