【クルマの足回りの寿命は?】最新車なら10万km ダンパー無交換でも大丈夫なのか? 

実行する価値と得られる楽しみ

 乗り心地の悪化を感じて、サスペンション部品を交換しようと考えた時には、まずタイヤの状態などをチェックしたうえで、慎重に実施してほしい。

 さらに組み付け精度の確認として、サスペンション周りの部品を交換した場合には、アライメント調整は必須だ。

 蛇足ながら、乗り心地に関しては、たとえばエンジンマウントはエンジン/トランスミッションからの振動の影響が直接的に表れ、乗り心地の悪化にも関わってくるから要注意。

 ドイツ系の車種などでも、旧いモデルでは意外にトラブルの声をよく耳にするから、まめにチェックしておくことをお薦めする。

 ダンパー/スプリングの交換の目的は人それぞれであり、スポーツ走行を念頭に入れた選択肢となれば、価格はさらに上があることは周知の通り。

 ここではあくまで“普段乗り”に限定した乗り心地の改善について話を進めているので、日常的に路面の状況をダイレクトに伝わってきて気分が良くないとか、ボディの動きが不安定になって、たとえば子供の車酔いにまで影響するようなら、足回りの交換を考えてみてはどうだろう。

アクア、プリウス、86の足回りの価格は?

 最後にアフターマーケットで販売されている足回りの価格はいくらくらいなのか? 一例としてプリウス、アクア、86の3車種の価格を調べてみた。

 調べたのはトヨタ直轄のTRD、競技車両用パーツも手がけるTEIN、走行用パーツのカスタマイズブランドとして知られるRS★R、主要自動車メーカーにOEM供給するダンパーメーカーであるKYB。

 ここでは、総じて乗り心地などに配慮した「ストリート用」サスペンションとして、ベーシック仕様品を選択(表示は税抜き価格)。プリウスに関しては、3代目に統一した。価格の表記はセット/単品(前後)などの設定が変わっていることを確認したうえで、詳細については、各社に問い合わせいただきたい。

以下のダンパーとスプリングのキットを大まかにみると(KYBはダンパーとスプリングのセット製品の設定なし)、ここで示した仕様では10万円前後から部品代がスタートして、これに工賃が加わることを考慮すれば、総計で約20万円コースになる。

 なお、RS★Rが“車高調キット”と呼ぶ、ダンパー/スプリングセットは、スプリングに上級グレードの「Ti2000」を装備しているため、価格が他社よりも上昇している模様。TEINの場合、ダンパーの仕様や在庫によって変化するので問い合わせが必要となる。

■ダンパーとスプリング、1セット価格
1/プリウス(ZVW30)2/アクア(NHP10)3/86(ZN6)
・TRD(Sportivo):1/9万5000円、2/9万5000円、3/9万円
・RS★R:1/14万5000円(Basic i)、2/14万8000円(Basic-i C&K)、3/17万8000円(Best i)
・TEIN:1/8万1000円(STREET BASIS Z)、2/8万1000円、3/7万1000円~(註:カッコ内は商品名)

■TRD
 トヨタ直系のスポーツ性を推し出したブランドであるTRD。サスペンションキットである「スポルティーボ」は、1年または2万kmの部品保証を実施。

 工賃は、ダンパー交換(1台分、車高調キット・純正形状):2万5000円~。スプリング交換(1台分、スプリング単体):4万円。アライメント測定/調整(1回):8000円/3000円とされている。

1/ダンパー、スプリングセット、2/ダンパー(1セット)、3/スプリングセット(1セット)

・プリウス(ZVW30):1/9万5000円、2/5万2000円、3/生産中止
・アクア(NHP10):1/9万5000円、2/5万7000円、3/3万8000円
・86(ZN6):1/9万円、2/5万4000円、3/3万6000円

■RS★R
 大手サスペンションパーツブランドであるRS★Rが車高調キットと呼ぶ、ダンパー/スプリングセットは、スプリングに上級のTi2000を装備。掲載したスプリングはベーシックなRS★R DOWN(車高低下は25~20mm)を取り上げた。品質保証は3年/5万kmを設定。

1/ダンパー、スプリングセット、2/スプリング1セット、3/スプリング:前、後

・プリウス(ZVW30):1/14万5000円(Basic i)、2/3万6800円、3/1万9300円、2万1100円
・アクア(NHP10):1/14万8000円(Basic-i C&K)、2/3万5800円、3/1万8100円、2万800円
・86(ZN6):1/17万8000円(Best i)、2/3万3800円、3/1万7500円、1万9700円(RS★R DOWN)

■TEIN 
 ラリーフィールドでの競技車両用製品などでの評価が高いテインは、最新競技車両から1970~1980年代の旧車に適用可能な製品までを手がける。ここでは、基本的にベーシックなストリート仕様を選択した。

1/ダンパー+スプリング(1セット:STREET BASIS Z)、2/ダンパー(単体:Endura Pro)、3/スプリング(1セット:HIGH TECH)

・プリウス(ZVW30):1/ダンパー+スプリング(1セット:STREET BASIS Z)8万1000円、2/ダンパー(単体:Endura Pro)、F:2万円、R:1万円、3/スプリング(1セット:HIGH TECH)4万9000円
・アクア(NHP10):1/8万1000円、2/2万円、3/5万円
・86(ZN6):ダンパー+スプリング(1セット:Endura Pro SP KIT)7万1000円、ダンパー(単体:Endura Pro) F:2万円、R:1万2000円 、スプリング(1セット:HIGH TECH)4万6000円

■KYB 
 自動車メーカーにOE供給を実施するダンパーメーカーであるKYBでは、同社傘下のKYBエンジニアリングアンドサービスが二輪/四輪の各種ダンパーをはじめとした製品を扱う。アフター向けダンパー製品は、昨年発売された「NEW SR MS/MC」シリーズ(MS/MCはMORE SPORTY/COMFORTの意。

1/ダンパー(1セット:NEW SR SPECIAL)、2/単体(前、後×2)、3/単体計

・プリウス(ZVW30):1/6万2500円、2/2万2600円、1万8600円、3/6万3800円
・アクア(NHP10):1/6万2500円、2/2万2600円、1万8600円、3/6万3800円
・86(ZN6):1/7万円、2/2万2600円、2万2000円、3/6万7200円

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