■走りのステーションワゴン、ステージア
1996年に登場したFRステーションワゴンであるステージア(WC34型)は、走行性能を積極的に主張するモデルだった。
初代は位置づけとして、当時のローレルの型式がC34型だったので、ローレルのステーションワゴンというべきか。
ともあれ、6気筒(ターボ)搭載のFRワゴンというのはいまでも魅力的なスペックであり、輸入車を含め、将来の直6モデルの採用を打ち出したマツダの存在もあって、このコンセプトの推移を注視しているのはメーカーとステーションワゴンユーザー双方といえるかもしれない。
初代の全長4800×全幅1755×全高1490mm(標準仕様)、ホイールベースが2720mmというサイズ感は、高級ワゴンとして、日常での荷物を扱ううえでは必要となるスペックだろう。
エンジンは初代のRB型直6の2L/2.5L/同ターボから、2001年から登場した2代目(M35型)では、直噴ガソリンV6の2.5L/3LのVQ25DD/30DD型エンジンを設定。
専用エンジンとしてVQ25DET型も用意されるなど、走りにこだわる日産ファンにはインパクトを与えたが、2004年のマイナーチェンジ後は、VQ25DE型とともに3.5L自然吸気のVQ35DE型を与えられた。
現在の日本市場では、スバルとマツダが海外市場を見据えつつ、ステーションワゴンが用意され、ワゴンボディをもつ独立したモデルは日本車ではレヴォーグのみ。
最近聞かなくなったプレミアムワゴンを輸入車ばかりに任せておく手はないはず。仕立てと売り方の工夫に注力すれば、決して勝ち目がない戦いにはならないのではないか。
■前3人、後ろ3人乗りのティーノ
パッケージングや使い勝手が良くても、モデルとしての立ち位置がマーケットによく理解されないと、商品としての訴求力が生み出せないという、不人気車が絡め取られがちな“悲しい鉄則”は、残念ながらティーノ(1998~2006年)にも当てはまってしまう。
前席3人、後席3人の6人乗りのコンセプトとして、ミニバンとステーションワゴンの機能性を併せ持つモデルとして登場したティーノ。ホンダでいえば、同じく1代限りでなくなった前席3人、後席3人の6人乗りのエディックスがある。
いいとこ取りは難しいとはいえ、スタイリッシュかつ6人乗りの利便性を備えるよう巧みに仕上げられれば、ヒットする可能性はあるはず。
極論すれば、いわばマーケットに常に存在し続けて“しまっている”、隠れた「鉱脈」なのだ。
■元祖着せ替え自由なエクサ
北米市場では“セクレタリーカー”(女性が自らハンドルを握るクルマ)と呼ばれるカテゴリーに属する、パルサーEXAは1982年に誕生した。
初代はパルサーエクサ(EXA)と呼ばれたように、N12型パルサーをベースとして仕立てられたノッチバッククーペは、スタイリングではリトラクタブルヘッドランプが印象的で、オープン仕様のコンバーチブルまで限定発売された。
1986年に登場した2代目(KN13型)はパルサーシリーズから独立、単に「エクサ」と呼ばれるモデルとなった。
日産の北米デザインスタジオ「ニッサン・デザイン・インターナショナル:NDI」が手がけた。
いかにも北米市場を意識したTバールーフの設定とともに、クーペとキャノピーの“着せ替え”可能な斬新なデザインは話題となった(1990年に生産終了)。
日本仕様では、取り付け部の形状が異なり、加工が必要となって、構造変更の申請が必要なようだが、シンプルなデザインとともに、現在の樹脂材料などを利用した軽量化技術を使って、コンセプトを復活させても面白いはず。
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