法律上では点けっぱなしを義務付け
道路交通法では「車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない」(第五十二条)とある。
つまり、道路交通法では夜間の信号待ちではヘッドライトを点灯させて、周囲の交通に自車の存在を知らせることを義務付けているのだ。
しかしこの法律が制定されたのは1960年代の高度成長期のことで、現在の交通量や街灯などの明かり、スモールライトの光量などを考慮すれば、眩しいほど明るいヘッドライトの点灯を信号待ちで義務付けるのは疑問に思う部分もある。
ちなみにヘッドライトの無灯火による違反点数は1点、反則金は大型7000円、普通及び2輪車で6000円、小型特殊、原付で5000円。
ヘッドライトを点けっぱなしにするメリットは?
次にヘッドライトを点けっぱなしにするメリットはあるのか、考えてみよう。
最も普及しているハロゲンバルブを採用しているヘッドライトでは、タングステン製のフィラメントが燃え尽きてしまうことを抑えるハロゲンサイクルという還元作用が働いている。
このハロゲンサイクルが機能するためには安定して点灯状態にあることが大事だ。
消灯すると温度が下がり、バルブ内壁に蒸発したタングステンが付着してしまうため、還元作用が働かなくなってバルブの寿命が短くなる。
しかし理論上はそうでも、実際に実験してみるとあまり変わらないという結果だったというデータもある。
キセノン、ディスチャージとも言われるHID(High Intensity Discharge )ライトは、スイッチをオンにしてから、最初は青白く、本来の光量に到達するまでに数十秒かかる。
つまり回路のスイッチングによる負担が大きく、点灯した瞬間、通常の7~8倍程度の過大な電流が流れるため、オンオフを繰り返すと寿命が短くなってしまう。
LEDヘッドライトは、発熱を抑えたほうが寿命が伸びるので、こまめに消したほうがよいという考え方もある。しかしスイッチングによる回路へのインパクトが増えることを考えると単純に寿命が伸びるとは言い切れない。
ちなみに各ヘッドライトの寿命だが、ハロゲンバルブは約1000時間(約3年)、HIDは約2000時間(約5年)。
これに対してLEDライトは、約10000時間(15年)という長寿命。ただし、これは適切な放熱が行われるという条件下でのもの。 ちなみにLEDでもHIDでも新品時に比べて光量が70%に落ちた時点が「寿命」とされている。
結論/点けっぱなしが正解!
結論として、HIDライトは信号待ちでも点けっぱなしのほうがよい。
ハロゲンやLEDヘッドライトは、バッテリーやライト本体の寿命を考えれば消すのもアリだが、発進時に点灯することを忘れるようなら点けっぱなしにしておくべきだ。
自分の愛車のヘッドライトの光源が何なのかよく分からないドライバーは、点けっぱなしにしておくほうがいい。
そして、タマにしかクルマを使わないドライバーで、特に夜間走行が多いなら、バッテリーの充電量は時々チェックする習慣をつけることで、バッテリーあがりを防ぐようにしたい。
ただし、自分や回りのドライバーが眩しいと感じるようなシーンでは、スモールランプに切り替えるのもいいと思う。
それも夕方の早期点灯を促す「思いやりライト」と同じ気遣いではないだろうか。
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