ボルボのなにがスゴいのか?? 日本と海外のカー・オブ・ザ・イヤーを席巻!!!

■死角性能・安全性・コスパ etc… 今のボルボに死角はない!

(TEXT/国沢光宏)

●デザインの「変遷」と「変貌」

 ボルボはこのところ世界的規模で人気上昇中だ。もちろん日本も例外じゃない。

 欧州と北米、日本という世界の3大COTYのなかで一番輸入される車種にとってハードル高いといわれている日本COTYをXC60とXC40が2年連続で受賞!

 はたまた北米COTYのSUV部門もXC60。そうかと思えばXC40が激戦区の欧州COTYを取っているから驚く。

 なぜボルボ人気なのか? 私は3つの大きな要因があると考えている。デザインと安全性、そしてコストパフォーマンスだ。以下紹介してみよう。

 まずデザイン。フォード傘下のメーカーだった先代60シリーズまでのデザインを見ると、皆さん「普通ですね」と思うハズ。特に悪くもない代わり、スタイリッシュという雰囲気もなし。フォードらしく質実剛健。

ボルボ245。240シリーズを母体とするステーションワゴン。日本でも人気になった。

 しかし現行V40から大きく変化し始めた。私はV40を購入したのだけれど、安全性のほか、デザインにも魅力を感じた次第。

 いや、正確に表現すると、安全性だけならV40を選ばなかったと思う。

 この時期、どうやらボルボ内部でもデザインの方向性が変わりつつあったらしい。そりゃそうだ。ボルボの特徴は実用性。なのにV40ときたら競合車であるVWゴルフなどと比べ狭かった。

V40

 大きく変わるのはフォード傘下から抜けた後にデザインされるXC90からである。

『トールハンマー』(北欧神話に出てくる電撃金槌)をイメージしたヘッドライトに加え、ボディ全体のシルエットもまったく変えてきた。

 わかりやすく表現すると「低くワイドに」というクルマのカッコいいデザインの王道を選択。個人的にXC90はなじめなかったけれど、次のS90/V90などスーパーカッコいい!

XC90

 見た瞬間「どうしちゃったの?」と思ったほど。続くXC60など「このクルマ、ぜひとも欲しい!」(現在所有してます)。

 ベンツやBMWのSUVってアメリカを意識し過ぎて大味なデザインになったり、商用車部門の開発のため作りも「う~ん」。ポルシェやアウディの場合、後述の安全デバイスがまったく遅れており、事故を起こしたくない私だと対象外。

XC60

 ふたつ目の魅力は「事故を起こさないための装備」が充実していることである。特に日本仕様は安全装備がすべて標準で付く。ボルボに乗っていたら事故を起こすのが難しいと思えるほど。

 実際、ボルボは「2020年までに新世代のボルボ車は死亡事故やそれに匹敵する重篤なダメージを起こさないようにする」という目標を立て、真剣に実現させようとしている。

●先進安全機能は至れり尽くせり

 最新の安全スペックを紹介してみよう。

 前方に出現する「危険性」については自動ブレーキで対応。これ、車両だけでなく、歩行者や自転車までしっかり見ている。

 歩行者についていえば競合車の多くは昼間だけしか認識できないものの、ボルボについちゃ夜間までカバー。

 さらに正面衝突が避けられなくなると急ブレーキをかけ、生存率を2倍に高める機能まで付く。

日本のカー・オブ・ザ・イヤーを受賞したXC40

 左右方向も万全。事故割合多い高速道路の車線変更など、左右にハンドル切った場所に他車がいるようなら、警告灯(そもそもこの安全デバイスはボルボが考案した)だけでなくハンドル切ってもソチラにいかないのだから素晴らしい! 

 はたまたバック時に運転席の死角になっている左右から車両や自転車が接近すると、警報鳴らして注意喚起するだけでなく自動ブレーキかけるようになっている。

 その上、車線をはみ出し対向車と接近すると自動でハンドル切って回避してくれたり、交差点で飛び出してくる車両を検知し、ドライバーがハンドル切ったら、その後はすべて車両側でコントロールしてくれる等々。

PHVも用意されるV90

 事故の可能性あれば自動的に止まるか、接触する方向にハンドルが切れないよう制御するか警告鳴らすかの3択。心強いです。360度の安全確認をクルマが常時してくれるという寸法。

 それだけじゃない。万一事故に遭遇したって、衝撃に対する対応策は世界トップだと考える。実際に起きた事故のデータを車体設計に反映してきたため、世界中の衝突安全試験の内容を先取りしている格好。

 だからこそアメリカで突如始まったスモールオーバーラップ衝突試験も、ベンツやBMWが軒並み最低評価になったのを横目にボルボだけ何の対策をすることなく最高評価に輝いた。

 3つ目がコストバリューだ。例えばXC40はサイズも価格もアウディQ3やBMW X2と同じクラスになり、欧州だと「Cセグメント」というカテゴリーに属す。ドイツ車なら例外なく「車両価格」により上質度が異なる。

 BMWならX2シリーズは間違いなくX3シリーズよりチープな仕上げ。けれどスウェーデンにはこういった「サイズによる上質度の差をつける文化」がないのだろう。

 興味深いことにXC40より大きいXC60に乗れば、落ち着いていてトラッドな感じ。XC40はスポーティ&カジュアルという“味や雰囲気の違い”あるものの、上級か中級かみたいな差についていえば「ない」。

 むしろXC40のインテリアは明るく、乗り心地だって好ましい。ドイツ車だと予算ある人は基本的に上級の車種を選ぶが、XC60を買う予算ある人でもXC40にしようか迷う人も出てくるんじゃなかろうか。

こちらも一昨年(2017-2018)の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したXC60

 そしてお買い得感が高い。XC40であれば同じ予算で前述のライバルたちよりパワフルなエンジン搭載車を買える。

 はたまたXC60だと大きさ的にはBMWならX3とX5の中間サイズながら、価格は極めてX3に近い。

 それでいて安全性はもちろんインテリアの質感まで高いのだった。といったことを総合して考えれば、世界的な人気は当然かもしれません。

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