サーブ
GMの経営難が発端で消滅したのはアメリカのブランドだけではない。スウェーデンの雄、サーブもそのひとつ。
BMW、スバルと同様に飛行機メーカーが全身のサーブは、数ある欧州車でも独特の個性と味を持っていた自動車メーカーだった。
サーブの特別なスポーツモデルの車名に使われた『ビゲン』は、サーブの有名な戦闘機由来であるなどマニア心をくすぐった。
日本では赤いサーブ900のカブリオレが女性に大人気となったのが今は懐かしい。また日本とゆかりがあるのは、サーブ9-2Xは、インプレッサをベースに群馬県内の工場で製造され、マニアからはインプレッサーブと呼ばれていた。
サーブの失敗は2000年にGMの完全子会社になったこと。これは老舗旅館が大型ホテルチェーンに買収され、最終的には存在意義をなくすというのと似ている。
サーブそのものの経営状況は悪かったので背に腹は代えられなかったのだろうが、この点が惜しまれる。
ランチア
イタリアの名門ランチアはまだ消滅していないので、ここで取り上げるのはまだ早いが、消滅へカウントダウンが始まっているのも確か。この原稿を書きながらも、突然状況が大きく変わるのを期待しているが、それも望み薄か……。
ランチアはイタリアの高級車メーカーとして名をはせた。フィアット傘下に入った後も、大衆路線のフィアット、スポーツ路線のアルファロメオ、プレミアム路線のフェラーリとも一線を画す高級路線でクルマ作りを続けてきた。
ランチアは名車揃いで、世界中にコアなファンが存在する。
日本ではガレージ伊太利屋が正規代理店として販売したのを機に着実に知名度を上げた。スーパーカー世代に人気のランチアストラトスもWRCで勝つために作られたスペシャルマシンで、フルビア、037ラリー、デルタS4、デルタインテグラーレなど、ラリーで活躍したイメージは強烈。
その後もテージスなど、世界中でランチアしか作れないという雰囲気のある高級セダンを発売して存在感をアピールしていたが、フィアット・クライスラー・オートモービルズの誕生で、ランチアはイタリア国内専売となり、その存在意義すら奪われた。
現在のラインナップはコンパクトカーのイプシロンのみというのも悲しすぎる。このイプシロンは、イタリアでは販売好調ながら、現在生産しているポーランドの工場のラインは、2020年にフィアット500L、パンダなどに譲ることが決まっている。
これは2020年をもってランチアの新車が存在しなくなることを意味している可能性が高い。
繰り返すが、どんでん返しで電気自動車のeイプシロンという形で存続が決まるなどに期待したい。
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この消滅した、消滅しかけている自動車メーカー、ブランドと対照的なのがオペル。GMの経営難で売りに出された時は、そのまま消滅してもおかしくなかったが、PSAグループの傘下に入ってから息を吹き返した。
オペルのようにしぶとく生き残ってくれるメーカーがひとつでも多くなれば最高だと思う。今回紹介したメーカー、ブランドも不死鳥のごとくよみがえってほしい!
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