クルマにとってデザイン、特にフロントマスクはキモとなる。デザインひとつで売れることもあるし、その逆に売れなくなることもある。ターゲットにするユーザーによってもデザインは変わってくる。
基本的に量販を狙ったクルマは当り障りのない平均的で無難なデザインで万人受けを狙う傾向にあるため、記憶に残るデザインは出にくい。
そのいっぽうで、個性的なデザインを与えられたモデルも数多く存在する。メーカーのアイデンティティを盛り込んだり、斬新なチャレンジンによりユーザーにアピール。
ザインは人により好みが違うので、いい悪いで判断できない。約束事はあるかもしれないが、これといった正解はない。
本企画では、チャレンジングなフロントマスクのクルマを集め、『よくぞここまで個性的な顔で市販してくれた』、という敬意を込めてお送りする。
文:永田恵一/写真:シトロエン、フォード、トヨタ、モーガン、マクラーレン
シトロエンC1
シトロエンのベーシックモデルのC1はAセグメントのコンパクトカーで、ここで紹介するモデルは2代目で2014年にデビューしている。
トヨタアイゴ(この後に紹介)、プジョー108とコンポーネンツを共用するモデルで、初代、現行とも日本には導入されていないが、物凄く個性的な顔に仕上げられている。
現在シトロエンが推進しているダブルフェイスを採用しているのだが、眉、目、鼻、口がここまではっきりと認識できるクルマも珍しい。特に眉毛にしか見えない形状のポジションランプがポイントだ。
この眉により、眉を描かれた子犬のように見える。ちょっと困った表情を表現したアスキーアートっぽくも見える。正面からよりもちょっと斜めからのほうが雰囲気があっていい。
シトロエンは昔から個性的なフロントマスクのクルマを数多く世に登場させていて、最近ではC4カクタスのダブルフェイスで注目を集め賛否がわかれているが、現時点でナンバーワンの個性的な顔はC1で決まり。
トヨタAYGO(アイゴ)
前述のとおり、シトロエンC1とは主要コンポーネンツを共用する兄弟車の関係にあるアイゴだが、C1に負けず劣らず個性的な顔が与えられている。
フロントマスクの真ん中をX状にバッサリと切り込みを入れているようなデザインは、日本で販売しているどのトヨタ車よりも斬新かつインパクトがある。
X部分はシルバーメッキとブラックアウトしたタイプがあって、前者は隈取メイクを施した人みたいだし、後者は犬のチンにどことなく似ている。
これはマイチェン前のフロントマスクなのだが、マイチェン後はこれまた強烈。マイチェン前が彫り込んでいた感じだったのに対し、マイチェン後は逆に出っ張らせている。この出っ張った感じが、なんだか覆面を被った感じで、鋭い眼光もあって覆面レスラーの雰囲気を醸し出している。
マイチェン前、マイチェン後ともアイゴは只者じゃない! アイゴに比べたら、ヴィッツ、アクアとも空気みたいなものだ。
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