サンキューハザードは日本人だけ?間違いだらけのハザードランプの使い方

サンキューハザードは違法ではないが合法でもない

 続いて、高速道路を走行中に追い越し車線から走行車線に車線変更して道を譲る、あるいは一般道でも車線変更で割り込んだ際に、後続車に対して“挨拶”するような、いわゆる「サンキューハザード」。ただし、これについては多少意見が分かれる。

 結論を先に言ってしまうと、ハザードランプの使用について規定する“道路交通法施行令第18条第2項”、並びに“同法第26条の3第2項”のいずれにおいてもサンキューハザードの使用を禁止する記載はない。

 しかし、本来、ハザードランプはあくまで非常に使う、非常点滅表示灯。周囲に誤解を招く使用方法は避け、交通マナーの範囲で使用し、むやみに点灯させることは避けるようにしたほうがよい。

 地域によっても解釈が異なる場合があるので、手で挨拶をしたほうが確実に相手に伝わる。室内では見えないことも多いため、できれば窓を開けて行ったほうがいい。

 その反面、譲ってもらった時のお礼としては悪い気はしないし、サンキューハザードをされないよりはされたほうがいいという意見もある。また日本人ならではの礼儀正しさから来る行為とみれば、いいマナーだと思える。実際、サンキューハザードをやりすぎて、警察に捕まったという事例も聞いたことがない。

 そのほか、商業施設の駐車場などで、駐車場が混雑している場合、ハザードランプを点けることで、空いているスペースに駐車することを意思表示し、バックで入る時の周囲への注意喚起を意味する「リバースハザード」といわれるものだ。

■ハザードの合図の種類
●渋滞最後尾のハザード

高速道路などの渋滞で、最後尾のクルマがハザードランプを点滅させる。これは後続車に渋滞の存在を知らせ、追突事故などを予防するために使用する。
●サンキューハザード(ありがとうハザード)
合流や車線変更時に、進路を譲ってくれたクルマに対して「ありがとう」の意味で2、3回ハザードランプを点滅させる。しかしこれは本来の使用法とは異なり、また地域や状況によって意味合いが異なる場合があるので、このような場合には、会釈や手で挨拶したほうがいい場合もある。
●リバースハザード
商業施設などで駐車スペースにバックで駐車する際、ハザードランプを点滅させて後続車にバックする意志をより強く伝える意味で使われる。

渋滞最後尾のハザードについて警視庁と静岡県警高速道路交通警察隊に聞いてみた!

渋滞最後尾のハザードランプの点滅を静岡県警の高速道路交通警察隊などが推奨している。特に後者は頻発する高速道路上での衝突事故への対策として、NEXCO中日本などともに広く周知を促している
渋滞最後尾のハザードランプの点滅を静岡県警の高速道路交通警察隊などが推奨している。特に後者は頻発する高速道路上での衝突事故への対策として、NEXCO中日本などともに広く周知を促している

 それでは、ハザードランプの使い方のなかで、高速道路上で渋滞の最後尾に遭遇した場合に、後続車に危険を知らせるために点滅することは法律的に義務ではなくても、効果に意味があるのかどうか、改めて確認しておきたい。

 まずは、渋滞最後尾でのハザードランプ点灯を推奨しているかどうかを、警視庁に問い合わせてみると、

「道路交通法等の規定によらない高速道路等での渋滞最後尾車両の非常点滅表示灯の使用は推奨しているものではありませんが、追突事故を防ぐため後続車に、注意を促す自主的な行動として、一般に周知されているものと承知しております」との回答が返ってきた。

 対して、静岡県内の東名高速と新東名高速道路を管轄する、静岡県警の高速道路交通警察隊に訊ねてみると、

「平成30年3月、県内の高速道路において、渋滞最後尾車両に追突する交通死亡事故が連続で発生したことを契機として、高速道路利用者の注意喚起を図り、渋滞最後尾車両への追突事故防止を図るため、運転者に対して『後続車に渋滞を知らせるハザードランプを点灯する』呼びかけをしている」とのことだ。

 静岡県警の場合は、高速道路(首都高は自動車専用道路)での大型車両による事故の規模の大きさに対応することが必要なことも、ハザードランプの点灯を推奨する理由のひとつといえるだろう。

 ちなみに、東名高速を運営するNEXCO中日本のドライバーズサイトの「高速道路 マナーガイド」を見てみると、「高速道路では、一瞬の判断ミスやちょっとした不注意が、思わぬ大事故につながることがあります。

 交通ルールを守ることはもちろん、運転マナーも意識して、安全で快適なハイウェイドライブとなるようみなさまのご協力をお願いいたします」としたうえで、「クルマとクルマのコミュニケーションのツールとして、ライトの点灯、ウィンカーや渋滞末尾でのハザードランプは必要不可欠な意思疎通の手段です」とある。

 前述のように、法律的に定められてはいないが、「緊急時」といえる場合、たとえば、高速道路を走行中に事故を起こす、巻き込まれることを含めて、事故に遭遇した場合や、地震などの災害のはじめ、突然いわゆる“ゲリラ豪雨”や濃霧に視界が奪われてしまったような時には、ハザードランプを積極的に活用すべきだ。

次ページは : スーパーGTのNSX-GTもレース中にサンキューハザードを使っている

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