0102「ゼロ、イチ、ゼロ、ニ」の「2秒ルール」とは?
では、いわゆる「2秒ルール」を推奨している各道府県の警察(本部の交通課)はないのかと調べていたら、埼玉県警が「ゆとり運転0102運動」を推進していることがわかった。
同県警の車間距離に関する推奨運動そのものの歴史は長く、平成19(2007)年から「安全車間距離0102運動」、現在は「ゆとり車間距離0102運動」として、いわゆる「2秒ルール」を推奨している。
なお、大分県警や佐賀県警などでは「3秒ルール」が採用されているとのこと。これは教習所などでも使われており、中身については「2秒ルール」との差はほとんどなさそうだ。
このような「車間距離」の代わりに、走行中の前方車両がある地点を通過して後に自車がその地点を通過するまでの時間である「車間時間」については、“2秒”や“3秒”などと規準が分かれている。
欧米では高速道路などでの車間距離保持の目安として「3秒ルール」が用いられることもあるが、日本交通心理学会のデータ分析に基づいて推奨されているのが「2秒ルール」だ。
日本交通心理学会が行った車間距離測定実験によると、プロドライバーが走行した車間距離を時間に換算して「車間時間」を算出したところ、安全を感じ始める距離が約1.5秒、近すぎるとも遠すぎるとも感じない走りやすい距離が1.8秒という結果となった。
なお、統計的に車間時間2秒以内での事故は死亡事故等の重大な事故が多くなっているとしている。
このような実験結果と統計的事実から、前のクルマがある地点を通過してから2秒経た後に自分のクルマがそこを通過すれば、十分な車間時間をあけて走行していることになる。
(出典:一般財団法人全日本交通安全協会発行 セイフティ エクスプレス 平成20年6月号 千葉工業大学名誉教授山下昇著「車間距離より車間時間をとろう」)
一般的な感覚として、時間をカウントする時には短く数えてしまう傾向にあり、車間距離も短くなってしまうという。
そこで「0102」は「ゼロ」を「イチ」「ニ」の前に入れ込むことで「ゼロ、イチ、ゼロ、ニ」とゆっくり確認するようにして、2秒以上になるよう“カウント時間”を補正することになる。
データに基づいた成り立ちを説明すると、40/50/60km/hでの「車間距離」を「車間時間」に置き換えると、おおまかな間隔はそれぞれ約1.8秒(2秒間で車両が進む距離は40/50/60km/hに対して、それぞれ22/28/33m)となり、1.5秒だと危険に感じるとされている。
対して「車間時間が4秒以上」になると、割り込みに遭う可能性が高くなってしまい、元も子もなくなるから、話は微妙になってくる。
付け加えておくと、統計的に「車間時間」が2秒以内での事故は死亡事故を含む重大事故が多く、2秒以上離れていた際には大きな事故に至っていないという。これが「車間時間は2秒」というルールにつながっているようだ。
いっぽうで、“あおり運転”を含む「車間距離不保持」に関する実際の取り締まりは、そう単純にはいかない。
安全とされる具体的な車間距離は走行状況によって変化するから、法律の上で“車間距離不保持違反”を取り締まるうえでの“規定値”は存在しないからだ。
埼玉県警にあおり運転の取り締まりの対象となる具体例について訊くと「あくまでケース・バイ・ケースであり、状況による」が、「被害者からの被害連絡があれば対応できる」ということになる。
ルールとマナーを守ることは一体ともいえるが、自戒を込めていえば、車間距離に対する感覚はベテランドライバーほど余計な“慣れ”によって鈍くなってくるので、「2秒ルール」もあくまで目安でしかないことを忘れていけない。
ともかく車間距離については、たとえ腕に自信のあったとしても、クルマという重量物を走らせるうえでは、何人も“物理の法則”は超えられないことを、改めて心に留めておきたい。
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