新型タントは軽王者N-BOXを超えられるか?

■比較3:乗降性

やはりタントの魅力はピラーインドアのミラクルオープンドアが魅力。助手席側の最大開口部は1490mm

 両車とも後席側のドアはスライド式になる。N-BOXの開口幅も640mmを確保するから不満はないが、タントは先代型と同様、左側のピラー(柱)をスライドドアに内蔵した。

 したがって左側の前後ドアを両方開くと、開口幅が約1.5mに広がる。助手席の背面に乗降グリップを装着したから、お年寄りがワイドな開口幅を生かして体を捩らずに乗り込み、後席へスムーズに着座できる。

 また新型タントでは運転席に540mm、助手席には380mmの前後スライド機能を装着した。運転席を後方に寄せ、助手席は前方にスライドさせると、車内の移動がしやすい。

運転席が540mm、助手席が380mmスライドして室内の移動および乗り降りがしやすい新型タントの室内
運転席が540mm、助手席が380mmスライドして室内の移動および乗り降りがしやすい新型タントの室内
N-BOXの助手席スーパースライドシートは570mmロングスライド<br>
N-BOXの助手席スーパースライドシートは570mmロングスライド

 例えば子供を抱えて買い物袋も持っている時など、ウェルカムオープン機能を使うと、ユーザーが近づいただけで電動スライドドアが自動的に開く。

 車内に入ると、助手席を前側に寄せていれば広い空間があるため、左側の後席に装着したチャイルドシートに子供を座らせる作業もしやすい。その後はスムーズに運転席に移動できるから、雨の日は特に便利だ。

 さらに足腰に不安のある高齢者が安心して乗り降りできるラクスマグリップ(市場調査をもとに助手席や後席の乗降性や後席での移動に適した取り付け位置と細部にまでこだわった形状)やミラクルオートステップ、助手席回転シートなどのオプションも用意されている点にも注目したい。

ミラクルオープンドアの幅に合わせたロングステップで、あらゆる角度からの乗り降りに対応。助手席ドアやスライドドアの開閉に連動して、ステップを自動で展開、格納(ウェルカムシートリフト全車を除く全車にディーラーオプション )

 いっぽう、N-BOXは助手席が前後に570mmスライドするスーパースライドシートも用意した。

 後方に寄せると助手席の足元空間が大きく広がり、なおかつ運転席と右側の後席に座る乗員の中間に位置するため、3名乗車時に車内のコミュニケーションを図りやすい。それでも乗降時を含めて便利に使えるのはタントだ。

勝敗:タントの勝ち

■比較4:荷室の使い勝手

 タントの荷室床面地上高は580mm、N-BOXは470~490mmに抑えた。両車ともに荷室は広く自転車なども積みやすいが、N-BOXは特に床が低いから、収納性が優れている。自転車を積む時も、前輪を大きく持ち上げる必要がない。

N-BOXの後席内に燃料タンクがない独自設計のため、床下が470~490mmと低く、リアシートを倒せば27インチ自転車が積める。狭い駐車場などでテールゲートが開けられない時は、後席の座面をはね上げて荷物を積める空間に。A型ベビーカー(95㎝×48.7㎝×107.0㎝)が畳まずに積むこちができる。はね上げ(チップアップ)操作はワンアクション で行える。リアシートのスライド量は190mm、ラゲッジ開口部は1120mm
N-BOXの後席内に燃料タンクがない独自設計のため、床下が470~490mmと低く、リアシートを倒せば27インチ自転車が積める。狭い駐車場などでテールゲートが開けられない時は、後席の座面をはね上げて荷物を積める空間に。A型ベビーカー(95㎝×48.7㎝×107.0㎝)が畳まずに積むこちができる。はね上げ(チップアップ)操作はワンアクション で行える。リアシートのスライド量は190mm、ラゲッジ開口部は1120mm
新型タントはリアシートをワンモーションで倒せば自転車(写真は26インチサイズ)を収納できる。荷室の床下高は580mm、開口幅は1007mm<br>
新型タントはリアシートをワンモーションで倒せば自転車(写真は26インチサイズ)を収納できる。荷室の床下高は580mm、開口幅は1007mm

勝敗:N-BOXの勝ち

比較5:動力性能

新型タント(写真はカスタム)には64psの直3ターボと52psの直3、NAエンジンをラインアップ
新型タント(写真はカスタム)には64psの直3ターボと52psの直3、NAエンジンをラインアップ
N-BOX(写真はカスタム)のエンジンは64psのターボと58psのNAを用意している
N-BOX(写真はカスタム)のエンジンは64psのターボと58psのNAを用意している

■新型タント
・658㏄、直3、52ps/6900rpm、6.1kgm/3600rpm
・658㏄、直3ターボ、64ps/6800rpm、10.2kgm/3600rpm
・JC08モード燃費:ターボ/25.2㎞/L、NA/27.2㎞/L
・WLTCモード燃費:ターボ/20.0㎞/L、NA/21.2㎞/L

■N-BOX
・658㏄、直3、58ps/7300rpm、6.6kgm/4800rpm
・658㏄、直3ターボ、64ps/6000rpm、10.6kgm/2600rpm
・JC08モード燃費:ターボ/25.6㎞/L、NA/25.6㎞/L
※WLTCモード燃費表記なし

 タントの試乗車は発売前にプロトタイプ(試作車)に試乗したので、その時の走行性能の概要を比べてみたい。

 動力性能は互角だ。新型タントのNAエンジンは、実用回転域の駆動力に余裕を持たせた。最高出力が52ps(6900回転)、最大トルクは6.1kgm(3600回転)になる。

 最大トルクの数値は高くないが、頻繁に使う3600回転で発生させている。車両重量は標準ボディのXが900kgだ。

 N-BOXも実用指向だが、4500回転付近から加速の伸びが良くなる。最高出力は58ps(7300回転)、最大トルクは6.6kgm(4800回転)で、高回転域で相応に高い数値を発揮している。車両重量はG・Lホンダセンシングが890kgだ。

 タントはCVT(無段変速AT)にギヤ駆動を組み合わせて変速比を拡大するなど、工夫を凝らした。扱いやすく仕上げたが、幅広い回転域でパワフルなのはN-BOXになる。

 ターボエンジンは両車とも1Lの自然吸気と同等の性能を発揮して、運転がしやすい。

勝敗:N-BOXの勝ち

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