■新開発CVT採用で大幅グレードアップ!
(TEXT/鈴木 直也)
6年ぶりにモデルチェンジした4代目タントは、パワートレーン/プラットフォームに新しいアーキテクチャを導入した点に注目だ。
親会社トヨタにならって“DNGA”と名乗るこのアーキテクチャは、軽のみならずA/Bセグメントまでカバーする技術プラットフォーム。ダイハツがグローバルで担当する車種すべてをこれでカバーするワケで、まさに社運をかけた渾身作といっていい。
まずエンジンだが、NAもターボも第一印象は上々だ。発表前ということで今回の試乗は袖ヶ浦フォレストで行われたのだが、そんな環境下でも、レスポンス、パワー感、そして吹け上がりのスムーズさ、どれをとっても優等生。NAですらさしたる不満もなくスイスイとラップを重ねてゆける。
スペックを見ると、デュアルインジェクター化や集合エキゾーストポートなど、最新トレンドを取り入れながらきめ細かい改良を実施している。まるで乾いた雑巾を絞るように、モデルチェンジのたびに少しずつ性能を向上させてくることに感心させられる。
この新エンジンに加えて、新しいアイディアを盛り込んだ新型CVTがタントのドライバビリティをグレードアップしている。
ダイハツが“デュアルモードCVT”と名づけたこのCVTは、遊星ギアを使ってトルクをふたつのルートでタイヤに伝達するユニークなメカニズム。変速比幅の拡大とベルトの負荷低減の一石二鳥で、ドライバビリティと燃費をともに向上させている。
このCVTの優れた特性が、新型タントのドライバビリティに大きく貢献している。激戦区の軽自動車でライバルから抜きん出るのは難しいが、この新型エンジンと新型CVTのコンビネーションはアタマひとつ抜けた印象。ぜひ一般道でその走りと燃費をテストしてみたい。
タントはモアハイト系軽ワゴンの元祖だが、1.75mという高い全高によって操安性とのバランスをとることに苦労してきた。
このテーマに新型は80kgの軽量化と思い切ったシャシー性能のグレードアップで対処している。前述のとおり、DNGAはA/Bセグまでを視野に入れたアーキテクチャゆえ、サスペンションにもそれなりの対応が必須。シャシー剛性の強化をはじめ、足回り部品一つひとつのグレードにいたるまで、従来モデルより一歩踏み込んだ作り込みが感じられる。
重心高が高く決してサーキット向きとはいえないクルマながら、VCSがガンガン作動するような状況でもぜんぜん不安なし。タイヤのグリップ限界がそれほど高くないからVCSは早めに介入するが、そこに至るインフォメーションやステア操作による回避余力は充分に合格点。
欲を言えば、ブラシレスモーターを驕って電動パワステの操舵フィールを改善したいところだが、コストの関係でそこまで手が回らなかったようだ。
先進安全装備については、全車速ACC(アダプティブクルーズコントロール)やレーンキープアシストなど、最新トレンドはひと通り標準装備している。
ここでも、パーキングブレーキが足踏み式のため、停止維持ができないのが画竜点睛。あとひと頑張りしたらこの分野でもトップに立てたのに、惜しい!
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