量産車で世界初! “鏡じゃないミラー”を実現したレクサス ESが発売されたのは2018年10月のことだった。
カメラが映した映像を車内のモニターに表示する「デジタルアウターミラー」は、車そのもの以上に話題なり、さまざまなメリット・デメリットが予想されたが、ここまで実際にデジタルミラーを試したうえでの長所・短所を伝える情報は思いのほか少ない。
そこで、当記事では自動車ライターの永田恵一氏が、デジタルドアミラー付のESに2日間じっくり乗ってわかった7つの長所と4つの短所を解説。雨天時など予想以上に高い実力がわかった反面、まだ残された課題も多い。
文:永田恵一
写真:編集部
エンジンオフでも使える? 最も気になる部分の実力は??

実際に使ってみてわかった長所と短所を解説するまえに、まずはデジタルミラーで最も気になる2つの要素が問題なく使えるのかどうか。これは以下のとおり概ね問題ない印象だった。
【1】走行中の距離感の掴みやすさは?
この点はしばらく乗っていれば慣れる。
具体的な目安としては、流れている道路であれば鏡とカメラの映像を切り替えられるルームミラーを「鏡」にして適切な距離があり、後方を監視するブラインドスポットモニタリングの警戒表示が映らなければ進路変更できるくらいの距離がある。
また、ブラインドスポットモニタリングが作動しない渋滞中であれば、目視とモニターの映り方を組み合わせて基準となる距離感を掴んでいけば、いずれ慣れるだろう。
【2】パーキングメーターで路上駐車から降りる際の後方確認は大丈夫?
この点は、起動ボタンをオフにしてもしばらくモニターが映っているのに加え、車内外のドアハンドルを引くとモニターが映るので心配ない。
実際に使ってわかったデジタルミラー 7つの長所

では、実際に使ってみてデジタルミラーは鏡に対して何が優れているのか? 筆者が感じたメリットは以下の7つだ。
【1】走行中は標準モード、広角モード(ウインカーを出した際に切り替わる)ともにアナログドアミラーよりも後方の視野が広く、多くの情報が得られる
【2】暗い中でも明るさのあるシーン(トンネル・街灯や後続車がいる夜間など)であれば映像はモニターにきれいに映る
【3】モニターが車内にあるぶん従来のドアミラーより視線の移動は少なく、慣れれば楽
【4】外部ユニットが上下方向に薄い分、斜め前方の死角は減っている
【5】モニターが車内にあるだけに、雨天でも見にくくなることはなく、クリアな後方視界を確保
(※この点がデジタルアウターミラー最大の長所と感じた。また試せていないが、豪雨や雪に対してはカメラ付近に強力なヒーターを配置し、カメラが濡れて後方が映らないことがないよう万全の対策を敷いているという)
【6】左右のミラーまで含めた全幅は、従来のESより85mm狭く、路上での通り抜けなど若干ではあるがしやすい
【7】車庫入れやパーキングメーターにバック入れる際にはモニターに映る映像を下方向にすると、後輪が従来以上によく見えて駐車しやすい