【なぜホンダと日産の方が上!?】 王者トヨタのハイブリッド率が意外と低いワケ

 ハイブリッド車の多いメーカーといえば、真っ先にトヨタを思い浮かべるだろう。

 1997年に初代プリウスを発売して以来、レクサス LSのような高級車まで含めて、トヨタはハイブリッドを充実させてきた。

 2019年上半期の登録車販売ランキングを見ると、1位はプリウスで3位もハイブリッドのアクアであった(2位は日産 ノート)。同期のハイブリッド登録台数は、少数のプラグインを含めて33万4857台とトヨタが最も多い。

 ところが、登録車(軽自動車を除く)のハイブリッド比率は、実はトヨタよりも日産、ホンダの方が高い。イメージからすると、かなり意外な結果だ。

 なぜ「率」のうえでは日産、ホンダがトヨタを越えているのか。逆にいえば、ハイブリッドの王者であるトヨタの比率が意外と低いのはなぜなのか。

文:渡辺陽一郎
写真:NISSAN、HONDA、編集部


日産のHV比率がトヨタ越えでNo.1の訳

2018年の登録車販売No.1モデルに輝いたノート。販売を牽引したe-POWERもエンジンで発電し、モーターで駆動するハイブリッド車のひとつ

 直近の登録車に占める各メーカーのハイブリッド比率は、以下のような具合だ。

■2019年上半期における小型/普通乗用車のハイブリッド比率
・日産:61.3%
・スズキ:59.1%
・ホンダ:54.3%
・トヨタ:46.6%
※登録車の平均:40.7%
(マイルドタイプとプラグインを含む/日本自動車販売協会連合会)

 ハイブリッド比率の高いトップ3メーカーは、日産/スズキ/ホンダで、トヨタは4位になった。

 日産が61.3%で最も多い理由は3つある。

 まず、登録車で販売の好調なノートとセレナ、さらにエクストレイルも含めて、ハイブリッドのe-POWERが人気を高めたことだ。

 2つ目の理由としては、自販連のデータでは、簡易型のマイルドハイブリッドまでハイブリッドに含めていることもある。

 セレナではマイルドタイプのS(スマートシンプル)ハイブリッドもe-POWERと併せて好調に売れているから、ハイブリッド比率を押し上げた。

 ちなみに、Sハイブリッドには、小さなモーター機能付き発電機が搭載され、減速時の発電/アイドリングストップ後の再始動/エンジン駆動の支援を行う。

 価格が安いために登録台数も多く、これもハイブリッドに含めたから比率を増やした。

 3つ目の理由は、ノート、セレナ、エクストレイルを除いた日産の登録車が、売れ行きを大幅に下げたことだ。

 上記3車種だけで、2019年上半期に登録された日産の登録車の80%以上を占めてしまう。ノートとセレナだけでも登録車の70%だから、e-POWERとSハイブリッドの相乗効果でハイブリッド比率が61.3%に達しても不思議はない。

 言い換えれば今の日産には不人気車が多く、少数の売れ筋車種に設定されたハイブリッドが販売比率を高めた。

ホンダもトヨタを凌駕! 高いHV比率の裏にある2つの事情

2019年上半期のSUV販売No.1モデルに輝いたヴェゼル。ホンダはフィットを筆頭に、ヴェゼルやフリードなど人気小型車の全てにハイブリッドを設定している

 スズキが59.1%で2位に入ったのは、今のスズキ車では、セレナのSハイブリッドに相当するマイルドハイブリッド搭載車が好調に売れているからだ。

 スイフトやソリオの売れ筋グレードは、すべてマイルドハイブリッドで、フルハイブリッド搭載車も用意している。

 ホンダは、日産やスズキと違ってマイルドハイブリッドを用意しないが、販売比率を54.3%まで高めた。この背景には2つの理由がある。

 まず今のホンダ車では、国内販売総合1位のN-BOXが絶大な売れ行きを誇り、ホンダの乗用車の36%を占めることだ。軽自動車の総数となれば、ホンダ車全体の半数近くに達する。

 その結果、純粋なガソリンエンジンを搭載したベーシックな小型乗用車の需要は、N-BOXを始めとする軽自動車に吸収された。

 例えば、従来ならフィットの1.3Lエンジン搭載車を購入したユーザーが、今はN-BOXを選ぶわけだ。その結果、登録車のガソリンエンジン搭載車は売れ行きを下げて、ハイブリッドが比率を高めた。

 2つ目の理由は、今のホンダの登録車では、ほぼすべての車種にハイブリッドが設定されて販売に力を入れていることだ。

 フィット、フリード、ヴェゼルには、1.5Lエンジンをベースにした割安なハイブリッドが搭載される。ホンダ車の一番の売れ筋がN-BOXになった今、小型車の価値はハイブリッドになった。

 以上のように、日産とホンダでは、売れ筋車種が主にコンパクトなハイブリッドに集約されて、ハイブリッド比率を高めている。

なぜ絶対王者トヨタのHV比率は意外と低いのか

ルーミーは2019年5月に7728台を販売。姉妹車のタンク(同6268台)と合わせると、同月1位のプリウスを超える台数を売り上げた人気車だが、ハイブリッドは設定されていない

 一方、トヨタはハイブリッド専用車のプリウスとアクアが好調に売れる一方で、カローラ、ヴィッツ、ヴォクシー/ノア/エスクァイアなどは、ガソリンエンジン車の比率が高い。

 さらにトヨタはダイハツを完全子会社としているから、日産やホンダと違って、軽自動車には力を入れない(一応ダイハツ製OEM軽自動車は用意している)。

 そのためにルーミー&タンク、パッソ、ポルテ&スペイドなど、ハイブリッドを設定しない車種がN-BOXと同程度のコンパクトカーも堅調に売れている。これらがハイブリッド比率の上昇に歯止めを掛けた。

 表現を変えれば、トヨタはハイブリッドを育てた老舗でありあながら、ハイブリッドへ過度に依存しないバランスの取れた商品開発と販売が強みになっている。

 これはトヨタ車の魅力が多岐にわたることも意味する。

 例えばノートの売れ行きはハイブリッドシステムのe-POWERに負うところが大きいが、ルーミー&タンクはガソリンエンジンのみだから、機能の総合力で勝負せねばならない。

 この商品力の幅広さがあるから、トヨタは登録車市場で46%のシェアを占める。

◆  ◆  ◆

 以上のように、トヨタが日産やホンダと異なるのは、どのようなユーザーにも対応できる商品をそろえることだ。

 かつては日産やホンダも多彩な売れ筋車種を用意したが、今では海外向けの商品を増やしたこともあり、魅力がハイブリッドに特化されてしまった。

 トヨタは今でも国内市場に重点を置くから、ハイブリッドとノーマルエンジンのバランスを保っている。

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