■洗練されたデザインがかっこいい
今回の特別仕様車について企画を行ったのは鄭州日産の田村和久氏。テインの性能や耐久性の高さからアプローチし、わずか半年という短期間での採用に至ったという。
そこにはちょうどオフロード用の「4✕4 DAMPER GRAVEL2」をテインが開発していたタイミングだったというラッキーさもあるが、そもそものクオリティの高さがあるからこそ、自動車メーカーの基準をクリアできたわけである。
アフターパーツはその性能と引き換えに寿命が短いことも少なくない。テインは日本国内では3年6万kmという長期保証をしている。これはアフターパーツメーカーとしては画期的であり、競合他社に比べても手厚い保証をしている。それに耐えうるクオリティコントロールがされているのだ。
自動車メーカーの純正サスペンションの場合、10万kmでもオイルが漏れることはまずない。減衰力が抜けて使い物にならないこともほぼない。なんとなく「くたびれたかも?」なんて思いながらも普通に使えてしまう。そういったクオリティが要求されるわけで、純正採用されるにはとんでもなく高いハードルをクリアしたうえで、高い性能も有しているということなのだ。
ちなみに今回のサスペンションの場合は1年間の保証が付くとのこと。純正サスペンションはとくに保証はないそうだ。
今回は鄭州郊外のオフロードコースにてノーマル車と乗り比べ試乗することができた。特別仕様車はオフロード向けタイヤになっているのと、テインのサスペンションによって前後とも車高が33mm高くなっている。その恩恵もあるが、大きなギャップに乗り上げたときの上下に揺さぶられる感じがマイルドになっている。
底突き感が低減され、減衰力は終始じわっと効いているので明らかに走りやすい。ノーマルだって悪くはないが、ちょっとおっかなびっくり走っていたところが、テイン装着車両は思い切ってギャップにアタックできるほど安定していた。
そこには新機構のハイドロ・リバウンド・ストッパーも効いている。そもそもテインではハイドロ・バンプ・ストッパーという人気機構がある。サスペンションが沈んでいく時に最後はバンプラバーというウレタンかゴム製のストッパーに当たる。そうなると急激にサスペンションは沈まなくなり、ドカンと上に突き上げられる状態になる。いわゆる底付きという現象だ。
ハイドロ・バンプ・ストッパーはストロークの最後になると急速に減衰力を立ち上げる機構。バンプラバーはなしで、その代わりに油圧でジワッとストロークの最後を抑えてくれる。それによって突き上げ感なく、大きなギャップを乗り越えられるとミニバン向け車高調では大変人気の機構だ。
今回採用されたハイドロ・リバウンド・ストッパーはその逆。サスペンションが伸び切るときに最後にジワッと伸びてくれる。そうすることによってロール時のイン側タイヤが適度なスピードで伸びることになり、イン側サスがパコンと伸びないので、ロールを程度に抑えつつコントロールできるのだ。
今回のテストコースだとあらゆる場面でフルボトムするほどの本格的なオフロード路面。イン側サスが伸び切るのを適度に抑えることで、無用なロールなどボディの動きを抑えて走ることができ、ドライバーは極めて乗りやすく感じた。
あらゆるシチュエーションとコストを考えれば大量生産の純正サスペンションは相当高いレベルにある。しかし、アフターパーツはシチュエーションを限定すれば、純正品よりも遥かにコストが掛けられる分、高い性能を発揮することができる。
まさに今回のテイン製サスペンションがそれ。悪路をメインとして特別仕様車な分のコストもかければ明らかに高い性能が発揮できる。それだけ日本メーカーのアフターパーツには高い技術とクオリティの高さがある。それが今回認められて自動車メーカーに採用となった。今後、こういった優れたパーツを自動車メーカーに採用される事案が増えていって欲しいと思う。
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