エアコンが冷えない原因の多くはガス漏れ!
エアコンが冷えないという現象は、これら冷却回路を構成する部位のいずれかに不具合が起こったために起こる現象で、もっとも多いトラブルが「ガス漏れ」だ。
動かない家の壁に固定されている「家庭用エアコン」とは異なり、「カーエアコン」には様々な振動が加わる。
特に、システムの要となる「エアコン・コンプレッサー」はエンジンの回転力で動作(ハイブリッド車では電動化されている)するため、エンジン側面に固定されており、走行時にはエンジンの振動の影響をモロに受ける。
このため、ボディ側に固定されている「コンデンサー」との接続にはゴムホースが利用されている。
が、走行時その「コンデンサー」などにも路面からの振動が加わるため、配管接続部からの漏れを生じやすい。
しかも、ゴムのOリングでシールされた断続可能な箇所が9~10。ゴムホースのカシメ部位が2箇所とかなりの数。それだけ故障する確率も高くなる。
このため、平成モデル以前のクルマは10年10万km前後でトラブルことが多かった。各部の耐久性が格段に向上している平成以降のモデルも使用条件によっては10万km前後でトラブルこともあるが、メンテをキッチリ行っていれば14万~15万kmは走れる。
さて、「冷媒(フロンガス)」が漏れてしまった場合、とりあえず「フロンガス」を補充すれば冷えるようにはなる。カー用品店やスタンドでも行っており、費用も3000~5000円と比較的手軽だ。
しかし、冷却経路内には冷媒ガスと共に潤滑用のオイルも封入されている。ガス漏れを起こした場合、程度の差こそあれ、その「コンプレッサーオイル」も漏れ出している可能性があり、「フロンガス」の補充で冷えるようになったとしても潤滑油不足で「エアコン・コンプレッサー」が焼き付く危険がある。
さらに、どこから漏れたのかという根本的な問題も解決されていないため、1年も経たずに漏れて効かなくなる可能性も高い。
もしガスを補充してもエアコンが効かない時は亀裂が起きている可能性が高い。その場合、高圧ゴムホースや金属パイプなどから漏れていないか点検し、ガス漏れ修理を行う必要がある。
このため、新車に乗り換えるために「1シーズン持てば良い」ということでない限り、電装系の整備を専門に行っている「電装整備工場」に点検・修理を依頼したほうがよい。
冷却回路内に残っている「フロンガス」を回収して修理した上で、既定量の「コンプレッサーオイル」と「フロンガス」を補充となるため、安くとも2万~3万円の費用がかかるが、長く乗るつもりでいるなら結果的には安上がりだからだ。
例えば「エアコン・コンプレッサー」が焼き付きてしまった場合、「冷媒」と共に削れ落ちた金属カスが冷却回路内の隅々までに回ってしまうため、冷却回路を構成するパーツのほぼ全取っ替えとなり、そうなるとクルマによって大きく異なるが、10万~30万円という高額の修理代がかかる。これが要因となってクルマを乗り換えてしまうケースが多々あるので注意したい。
■エアコンの修理費用(工賃込み)
ガス補充/約3000~5000円
ガス漏れ修理/約2万~3万円
エアコン・コンプレッサー交換/約5万~10万円
ファンモーター/約4万~5万円
エバポレーター交換/約5万~10万円
エキスパンションバルブ交換/約2万円
エアコンフィルター交換/約2000~5000円(年1回交換)
サーモスタット交換/約1万円
※価格は車種によって異なりますので目安としてください
次に起こりやすいのが、「冷媒」の循環を担っているエアコン・コンプレッサー回りのトラブルだ。
エアコン・コンプレッサーの駆動力はベルトを介してエンジンから伝達されており、そのベルトの張りが緩んでスリップするといった不良は、即エアコンの作動に影響する。当然、コンプレッサー本体の取り付けが緩んでいてもダメだ。
また、駆動ベルトがかかっているコンプレッサー側のプーリーには「電磁クラッチ」が装備されていて、駆動力を断続(エアコンシステムによって動作を制御されている)できる構造になっている。
制御回路の途中には「リレー(電磁スイッチ)」も設けられている。このどちらか一方が故障した場合、駆動力が伝達されなくなるためエアコンは動作しなくなる。
A/CスイッチをON/OFFすると、作動時には「カチッ」という作動音が聞こえる。この程度は素人でも確認できるので、気になったら確認してみるとよい。
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