実力派でも不人気…薄れた「安くて高性能」という真骨頂
現行のV37型スカイラインは実力派だ。気持ちいい走りを誰にでも引き出すことができ、同乗しても疲れない。が、販売台数は月に200台ほどにとどまっている。モデル末期のマークXや価格帯が上のレクサスISと比べても売れていないのだ。
その理由は、スカイラインらしさに欠けていることだろう。最新モデルは丸型テールランプを採用するなど、ファンに寄りそってきた。
が、ちょっと前まで日産の首脳陣は売れなくてもいい、と強弁していたのである。この強気の姿勢がファンの反発を招いた。スカイラインの遺産をことごとく否定してしまったから反感を買ったのである。
また、価格設定も問題だ。歴代のスカイラインは、コストパフォーマンスに優れ、高性能だけど買い得感が高い、という印象が強かった。また、新しいメカニズムも積極的に採用した。だから売れたのである。
性能はライバル車と互角、それでいて価格はレクサス並みというのでは売れるはずがない。R32型スカイラインはGT-Rでさえ450万円のリーズナブルな価格設定だったのだ。
ちょっと頑張ればGT-Rのオーナーになれるから、走りの好きな人たちは買おうと頑張った。今のスカイラインには直列6気筒時代のような魅力も個性もない。
◆ ◆ ◆
歴代のスカイラインは、毎年のように進化を続けてきた。
が、今の日産はコスト優先で、さらに高みを目指そうという気概がない。だから数年経つと魅力を失ったし、買い替えようという気も起こらないのである。
売る努力をしないからスカイライン神話は崩壊してしまった。モータースポーツに参戦しなくなったのもファンが離れていった理由のひとつだ。
独立したGT-Rは今もサーキットで暴れている。が。スカイラインは姿を見せていない。スポーツイメージが薄れたのも敬遠される理由のひとつだ。
今、スカイラインは曲がり角にいる。
コメント
コメントの使い方