【目標の5倍!? 1ヵ月で3万台!?】新車受注台数を鵜呑みにできないカラクリと裏事情

本当の人気を図る「登録台数」が急落or目標台数が少ない車種も!!

2018年8月発表のCR-Vは月販目標台数1200台に対し、“初期受注”は4倍超の5000台を記録。しかし、現在では目標割れの月も少なくない

 以上のように発売後1か月後の受注台数は「作られた数字」と表現できるだろう。もちろん受注台数にウソはないが、受注開始時期を思い切り前倒しすれば、かなりの台数を募ることも可能になるからだ。

 そして、車の本当の実力を示すのは、受注台数ではなく、登録(軽自動車は届け出)台数だ。ユーザーから注文を受けるだけでなく、生産して納車まで済ませなければ、販売したとはいえない。

 さらにいえば、納車されてこそ、その商品はユーザーや世の中の役に立ち、メーカーや販売店にも利益をもたらす。単に受注台数を伸ばしただけでは、販売実績やメーカーの業績にならず、むしろ顧客に車両を引き渡す債務を増やすだけだ。

 月販目標の3倍とか4倍を受注したというのも、あまり誇れる話ではない。受注台数が極端に多いと、販売目標の立て方が甘く、台数が少なすぎたという見方もできるからだ。

 そしてイメージが最も悪いのは、発売後1か月の受注台数が好調だったのに、その後の肝心な登録台数が急降下するパターンだ。

 例えばホンダ CR-Vは、1か月の販売計画を1200台に設定して2018年8月に発表され、1か月後の受注台数は5000台を超えた。

「販売計画の4倍以上」とホンダは説明したが、あれから1年を待たずに、最近の1か月の登録台数は1000台を下まわった。1か月の販売計画に達しない。

レクサス UXの発売後1ヵ月受注台数は約8800台と発表された。目標の約10倍となるが、月販目標台数は900台と控えめ

 レクサスのESやUXは、逆に1か月の販売目標が少なすぎる。ESについては350台だ。

 海外市場を中心に売る車種だから、この台数でも成り立つが、国内の専売車種だったら1か月に350台などあり得ない数字だ。

 人気の先行きを冷静に見極めた結果ともいえるが、この台数では「日本はその程度の市場」と見限っているようにも受け取られる。レクサス ESが発売後1か月で5600台も受注したなら「もっと目標を高く持ちなさいよ」と言いたくなる。

新車受注台数は「鵜呑みにするべからず」

現行型N-BOXは目標台数1万5000台に対して3倍超にあたる約5万2000台の初期受注を集めただけでなく、その後の登録台数も好調を維持。このような例が“本当の人気車”といえるだろう

 現行型N-BOXは1か月の目標台数が1万5000台で、発売後1か月後の受注が約5万2000台に達した。そして発売から約1年を経過した今でも、1か月平均で2万台以上を届け出している。

 この背景には、先代型(初代N-BOX)の絶好調な売れ行きがあった。先代型は2011年末に発売されて以来、好調に売れて、現行型が登場する2017年まで届け出台数をほとんど落としていない。

 当然に先代型から現行型に乗り替える需要も多く、初期の受注だけでなくその後の売れ行きも好調だ。

 ただし、フィットやフリードからN-BOXに乗り替えるユーザーも多く、登録車の売れ行きは以前に比べると下がった。

 N-BOXが登場する前の2010年に、ホンダは日本国内で48万6000台の登録車を登録したが、2018年は37万8000台に減っている。軽自動車が増えたために、販売総数は2010年に比べて増加したが、粗利の多い登録車は減少した。

◆  ◆  ◆

 以上のように受注段階の台数は、その車種の人気度や販売実績を正確に表現したデータとはいい難い。

 実際に納車された登録台数や届け出台数は正確な販売実績だが、ほかの車種の需要を落として特定の車種が売れ行きを伸ばすこともある。

 従って販売実績は、相応の期間にわたりチェックして、ほかの車種とのバランスも考慮しながら判断する必要がある。発売後1か月の受注台数は、鵜呑みにしない方が良いだろう。

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